こうした状況もあって、太陽光発電の普及に向けて、発電所の建設・運営に取り組む企業連合が出てきた。京セラなど3社は、鹿児島湾岸の桜島に対面する埋立地(東京ドーム27個分の敷地)に29万枚の太陽電池モジュールを設置する。国内で計画中のメガソーラーの中では最大級で、発電能力は7万キロワット。総投資額は250億円に上る。全量を九州電力に販売する。
このように、適正価格による全量買い取り制度の実施をビジネスチャンスと受け止め、再生可能エネルギー関連事業への進出も活発になっている。オリックスは300億円の投資ファンドをつくる。東京海上日動火災保険系の東京海上アセットマネジメントは、三井物産と組んで100億円のファンドを設立。企業年金や生命保険会社から資金を調達して、10カ所のメガソーラーを計画している。
豊田通商が60%、東京電力が40%出資する風力発電最大手、ユーラスエナジーホールディングス(非上場)は、数年間で400億円を投じ、北海道や東北に総出力10万キロワットのメガソーラーを最低3カ所建設する方針だ。風力から太陽光にシフトするわけだ。産業界はメガソーラーの建設に向けて一斉に走り出した。
世界ではメガソーラー関連企業が倒産中!
一方で、買い取り制度の実施を前に、再生エネルギーのブームに水を差す”事件”が起きた。ドイツの太陽光パネル(太陽電池をいくつも並べて相互に接続したパネル)大手、Qセルズが4月3日、破産手続きを申請して経営破綻したのだ。Qセルズは、太陽光発電王国、ドイツを代表する企業だった。同社の創業は1999年。
ドイツでは00年に、太陽光や風力などの再生可能エネルギーで発電した電力を、電力会社が固定価格で買い取る制度を導入した。これが太陽光ビジネスに追い風となり、Qセルズは07年にシャープを抜いて世界最大の太陽電池メーカーになった。
だが同国では、10年、11年の2年間で太陽光発電の買い取り価格が40%引き下げられた。さらに今年も30%引き下げる。メガソーラー設置の補助金も段階的に削られ、今年は一気に32%減らされている。補助金が財政を圧迫したドイツでは、13年1月から太陽光発電の買い取り量をカットすることが決定し、全量買い取りではなくなる。