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消滅可能性都市・池袋の危機 破壊的“変貌計画”が始動 駅頭上の巨大デッキ出現構想

文=松崎隆司/経済ジャーナリスト
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消滅可能性都市・池袋の危機 破壊的“変貌計画”が始動 駅頭上の巨大デッキ出現構想の画像1後藤高志・西武ホールディングス社長(写真中央)
 西武ホールディングス(HD)の東京・池袋旧本社ビル建て替え計画が本格的にスタートした。6月16日には起工式が行われ、後藤高志社長は「旧本社ビルの再開発は大きなテーマ。西武グループにとっても池袋地域にとっても大きなプロジェクトだと確信しています」とその重要性について語っている。

 西武HDは2013年1月からグランドプリンスホテル赤坂跡地の再開発に着工、16年夏に開業予定であり、ヤフーがテナントとして入居することが決まるなど不動産業界では大きな話題となっている。

 西武HDは14年に再上場を果たし、1600円の初値が今では3000円近くまで上昇。そんな同社が次に打ち出した大型開発プロジェクトが、旧本社ビルの建て替えだ。総投資額は約380億円、完成は19年で、低層部には商業施設を配した地下2階、地上18階のオフィスビルで、延床面積は約5万平方メートル。これは池袋界隈ではワンフロア当たりの広さが最大のオフィスビルとなるほか、防災備蓄倉庫の設置や帰宅困難者への対応など、地域への貢献にも力を入れているという。「フロアが広ければ需要が高く、有力企業の誘致に有利だ」(業界筋)

 このプロジェクトは、豊島区が進める池袋駅再開発事業とも深くかかわっている。池袋駅は国内2位の乗降客数を誇るが、駅周辺に人が流れないことから“駅袋”と揶揄されていた。そこで進めているのが、池袋駅東西連絡通路(デッキ)構想だ。

「1980年代あたりから持ち上がった構想です。池袋は今、駅とその周辺が地下通路でつながっていますが、混雑して回遊性が悪い。そこで、東口と西口をつなげてもっと回遊性を高めようというもので、デッキを池袋駅の南北に一本ずつつくろうという構想が生まれ、さらに11年3月11日の東日本大震災を契機に、防災に強い街づくりをしようとデッキ構想が具体化しました。その後、西武HDは12年7月、南側デッキ近くの元本社ビル建築計画を発表し、JR東日本、東武などとデッキ構想推進の覚書を取り交わしました。そして、14年6月から西武HDがつくろうとしているオフィスビルとデッキがつながる計画に変更されました」(豊島区都市整備課再開発担当者)

「人の流れ」を変える

 デッキ構想が進められていく中で、池袋駅周辺は大きく変わろうとしている。豊島区庁舎移転を皮切りに、としまエコミューゼタウン(地下3階、地上49階で上層部はマンション、低層部には豊島区役所が入る)が誕生したほか、サンシャインシティの南東側隣地にある造幣局が16年に移転し、3.2ヘクタールある跡地には防災公園がつくられることになっている。さらに明治通りには19年の完成をメドにバイパスが設置され、駅東口の交通量が緩和され、駅前に歩行者広場を整備するという。また西口でも高層2棟を含む13万2000平方メートルの再開発を検討。これに東西を結ぶデッキが池袋駅に設置されれば、池袋の駅前とその周辺地域の人の流れは大きく変わる。

松崎隆司/経済ジャーナリスト

松崎隆司/経済ジャーナリスト

1962年生まれ。中央大学法学部を卒業。経済出版社を退社後、パブリックリレーションのコンサルティング会社を経て、2000年1月、経済ジャーナリストとして独立。企業経営やM&A、雇用問題、事業継承、ビジネスモデルの研究、経済事件などを取材。エコノミスト、プレジデントなどの経済誌や総合雑誌、サンケイビジネスアイ、日刊ゲンダイなどで執筆している。主な著書には「ロッテを創った男 重光武雄論」(ダイヤモンド社)、「堤清二と昭和の大物」(光文社)、「東芝崩壊19万人の巨艦企業を沈めた真犯人」(宝島社)など多数。日本ペンクラブ会員。

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