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技術論一辺倒
シャープが経営危機に陥った直接的な原因は、中国のスマートフォン(スマホ)メーカー小米科技からの受注が減ったことにある。昨年からジャパンディスプレイ、韓国LGD、台湾AUO、さらには中国国内の液晶メーカーが小米に安値攻勢をかけた。これまでシャープは小米向けの液晶で8割程度のシェアを握っていたが、15年度は5割程度に激減する見通しだ。競合他社の動きを察知しておらず、気付いたときはシェアをかなり喰われていたという。
競合他社の幹部は語る。
「シャープは、高い技術を搭載したものは必ず売れると信じ切っているところがある。液晶や部品をメーカーに売り込むときも、技術論一辺倒。マーケティングの感覚が希薄」
実際、部品の売り込みには、技術力だけでなく、営業力や他社や市場の動きを把握した上での提案力が重要になる。特に液晶事業は技術が廃れるのが早いため、アドバンテージを保ち続けるのは至難の業だ。
シャープ経営陣は液晶の分社化をいまだに表向きは否定しているが、分社化した後の新会社へ他社が資本注入することを受け入れる旨、支援と引き換えに銀行と約束しているとされる。とはいえ、社内ではいまだに液晶へのこだわりが強く、一枚岩ではない。追い詰められつつも従来の発想に固執してしまっていては、落ちた「池」から這い上がれるすべは見えてこない。
(文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト)
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