スマホは229億円の営業赤字(前年同期は16億円の赤字)と苦戦が続いた。そのため、7月31日の株価は前日比52円安の3533円。4~6月期決算は株価回復の起爆剤にならず、巨額増資に対する個人株主の不信を映し出す結果となった。
パナソニック、株価の足取り重く
ソニーに時価総額で逆転を許したパナソニックの株価の足取りは重かった。同社が6月25日に開催した定時株主総会で、津賀一宏社長の再任への賛成比率は87.03%。前年の86.75%から微増だった。13年3月期にマイナス47.2%だったROEを14年は8.6%、15年には10.6%とV字回復させた津賀氏の手腕に下された評価は厳しかった。
7月30日の東京株式市場でパナソニック株が一時、前日比7%(113円)安と大幅に反落した。前日発表した15年4~6月期の連結決算で家電や住宅関連が振るわず、本業の儲けを示す営業利益は765億円と7%減った。増益を予想したアナリストが多く、失望売りが広がった。
家電や住宅関連部門は苦戦したものの、新しい主力と位置付ける自動車・産業機器関連は営業利益が285億円と35%増えた。自動車関連向け電子部品が好調で、工場の自動化機器は産業機械向けに伸びた。16年3月期の純利益は、前期比0.3%増の1800億円(前期は1794億円)を見込んでいる。
ソニーはパナソニックに比べて、構造改革は1周遅れの感は否めない。ROEがパナソニックに比べて低いことに、構造改革の遅れが表れている。ソニーは成長の伸びしろが大きいという期待感から株価が上昇。一方のパナソニックは、リストラの一巡で収益改善の余地が小さいことから株価の伸びが抑えられた。
「中長期的に株価を決めるのは業績だ。業績の裏付けがあるパナソニックがそう遠くない日に時価総額でソニーを再逆転する可能性は高い」(市場筋)
ちなみに8月7日の時価総額はソニーが4兆2096億円。対するパナソニックは3兆5618億円である。
(文=編集部)