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びっくりドンキー、顧客満足度2位の“当然の理由”…味と品質への常軌を逸したこだわり

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
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びっくりドンキーの店舗(「Wikipedia」より)

 公益財団法人日本生産性本部は、さまざまな分野の有力な企業・ブランドの顧客満足度などを調査し、「日本版顧客満足度指数(JCSI)」と題して毎年、調査結果を公表している。「コンビニエンスストア」「銀行」といったカテゴリーごとに、顧客満足度などの順位が公表される。

 筆者の個人的な感想・印象となるが、「飲食」カテゴリーにおいて、一部の地域ではそれほど広く知られていないと思われるブランドが毎年上位に登場していることに、ある時、気づいた。ハンバーグレストラン「びっくりドンキー」だ。

 6月下旬、2019年度第1回調査の結果が発表されたのだが、飲食カテゴリーにおいてびっくりドンキーは7位となっていた。「ガスト」「吉野家」「マクドナルド」といった強豪を抑えてランクインしているのだ。18年度は3位に入り、上位常連の「サイゼリヤ」や「ス シロー」なども抑えている。近年は毎年、5位以内に入っていることがほとんどだ。

 なお、飲食カテゴリーはさらに「レストランチェーン」と「ファストフード店」の2つのサブカテゴリーに分かれている。びっくりドンキーは前者に属するが、そこでは19年度が4位、18年度は2位だった。

 なぜびっくりドンキーは、並み居る強敵を抑えて高い顧客満足度を獲得できているのだろうか。

 びっくりドンキーは、アレフという会社が展開している。1968年に岩手県盛岡市に開いたハンバーガーとサラダを提供する店「べる」が始まりだ。80年に札幌市で「びっくりドンキー」の1号店がオープン。それ以降、店舗数を順調に増やし、99年に200店となり、2010年には300店に達した。

 現在、びっくりドンキーは約330店を全国に展開する。都道府県別では北海道が最多で、約40店舗、飲食店激戦区の東京は意外と少なく約20店舗だ。東京は大阪や愛知と比べても少ない。東京に店舗が集中する大手チェーンが少なくないなか、激戦区とまではいえない北海道を地盤としたことで、その地域における存在感を高めることに成功した。それが高い顧客満足度につながっている面があると考えられる。

食材への強いこだわり

 顧客満足度が高いのは、ハンバーグがおいしいことも、もちろん大きな要因だ。ニュージーランドとオーストラリア・タスマニア島の契約生産者の指定牧場で育てられた牛を使った「ドンキー・ナチュラルビーフ」を01年から使用。使われる牛は、穀物飼料を使わず牛本来のエサである牧草を与えて放牧で育てられている。また、成長促進のための成長ホルモン剤も使っていないという。牧草で育てられた牛の肉は穀物飼料を与えられて育てられたものと比べ、脂が入りにくく赤身肉のおいしさが出やすくなる。さらに、脂肪酸のバランスが良くなるという。このようにハンバーグには並々ならぬこだわりを見せている。

「安心・安全」にもこだわっている。牛はトレース(追跡調査)が可能な管理体制の下で飼育される。認証番号が記された独自のイヤータグで一頭一頭の飼育履歴を管理。出荷後も「どこで育ったのか」「どの牛が用いられているのか」がわかるようになっている。

 また、びっくりドンキーは、ハンバーグ以外の食材もこだわっている。

 コメは「省農薬米」を使用。一般的な農法では除草剤や殺虫剤などが年間を通して5~9回程度使われるが、びっくりドンキーでは除草剤の使用を1回に限っている。この省農薬米の取り組みは96年から始め、00年に一部の店舗で提供を開始、06年には全店舗のコメが省農薬米になったという。

 びっくりドンキーで使う省農薬米は、東北地方を中心とした全国の契約生産者から出荷者証明があるものだけを仕入れている。これにより「産地がどこで、どの田んぼで育てられ、どのように栽培されたか」がわかるようになっているという。

 野菜にもこだわっている。大根やレタス、ミニトマト、タマネギは、使う農薬や肥料について独自の厳しい基準を設けて、それをクリアしたものだけを全国の農家から調達している。

 ビールは原料となる有機栽培の麦芽とアロマホイップをドイツの契約農家から直接買い付け、ドイツの法律「ビール純粋令」に従って、北海道小樽市にある自社の醸造所でつくっている。

 コーヒーは原料となるコーヒー豆をグアテマラやエチオピア・ペルーにある契約農園からアラビカ種に限定して直接仕入れ、札幌市にある自社の焙煎工場でローストし、それを店舗で1杯分ずつ挽いて淹れている。

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