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「印刷業界のガリバー」の闇を暴露!常態化した粉飾や談合、社長ジュニアが経費で豪遊…

構成=編集部
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–それは、小説の中では「工藤通次」として登場する人物ですか?

尾道 そうです。もう退社されたので元専務になりますが、以前から元専務の一代記をなんらかのかたちでまとめるのが夢で、本人にも依頼していました。しかし、元専務は「生臭い話が多いから、10年待ってくれ」と固辞し、10年後にあらためてお願いすると、今度は快諾してくれました。そして、長時間のインタビューを行うことができたのです。

–元専務は、会社の懐刀ですから、内部事情に精通しているのは当然でしょう。さらに実兄は元国会議員で、自民党の田中角栄派から小沢一郎らが結成した新生党に転じ、当時の「五奉行」に数えられた大物政治家です。政官財の生臭い話が出てきても、まったく不思議はありません。作中には、以下のような場面もあります。

「工藤は、三超デパートの社長岡戸茂から溺愛されていた輸入商の竹下みつよと懇意だった。最初の出会いは政治家からの紹介だと記憶しているが、どのような場面だったのかは憶えていない。竹下みつよは六本木三丁目の三階建の豪邸に住んでいた。その自宅の中に秘密クラブを持ち、経済界や政界の親しいメンバーを集めては夜な夜なパーティーを開いていた。一階がバーで二階は本人の住居、三階は客室だった。この客室はその夜のカップルのホテル代わりにも、使われていたに違いない」

この描写は、1982年に世間を騒がせた「三越事件」を指しているのは明らかです。しかも、現社長が「前社長のジュニア」だった時代、この「秘密の館」を気に入って入り浸り、愛人をつくり、経理部が領収証の山を前に途方に暮れる場面まで描かれています。

尾道 元専務が、それだけ赤裸々に話してくれたのです。私も、それなりに会社の暗部を知っているつもりでしたが、まったくの初耳でびっくりしました。

不正会計が横行していた、当時の業界

–ほかにも、目次を見ると「第二編第二章 日本初の産業スパイ事件」「第五章 社会保険庁シール談合事件で逮捕者」「第六章 JCVとカード会員誌の談合」「第七章 連続四七期増収増益のカラクリ」など、非常に興味深い内容が満載です。

尾道 日本経済の勢いが反映されていたのでしょう。よくも悪くも、高度成長から安定成長へ向かう日本経済では、営業担当者は花形だったのだと思います。モデル企業の交際費は、月500万円など当たり前でした。私の上司も、精算前の領収証を机の引き出しに入れていたのですが、たまりすぎて引き出しが開かなくなってしまったことがあります。また、みんなで酒を飲み、談合を根回しして、全員のノルマが達成できるようにしていました。横浜営業本部は、総勢15人ぐらいの小所帯でしたが、神奈川県1位の売り上げを誇っていたのです。

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