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日テレ『シューイチ』、制作協力者に「無報酬」「演出内容への異議放棄」「権利放棄」を強要

文=編集部
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『シューイチ』のホームページより

 日本テレビ系の情報番組『シューイチ』に出演したライターが、収録後に無報酬であることを局側から通達されたと告発した。また、番組の演出に関して異議を唱えないことを認めるよう求められたという。告発したのはライター・編集者の木谷美咲さん。『官能植物』(NHK出版)などの著作があり、食虫植物に関する造詣が深い。その木谷さんが25日、Twitter上で次のように投稿した。

「先日、日本テレビ『シューイチ』から依頼を受け、急遽2日間拘束の撮影で(KAT-TUNの)中丸雄一さんのコーナーに出たところ、撮影後に番組側からどさくさに紛れて無報酬及び番組内容演出に異議を唱えない承諾書を結ばされそうになりました。署名する前に気づいて抗議しましたが、手口、内容ともにどうなんでしょう?」(原文ママ、以下同)

「高視聴率の番組で、依頼の仕事で、一方的に不利益な条件を提示されるのか謎です。コンプライアンス的にも問題あるのでは。料理制作、コーディネート、監修、多岐にわたって仕事をした上でのことです。目下抗議中ですが、私と同じ目に遭う方がいませんように。どうぞお気をつけください」

 日本テレビ側が木谷さんに署名を求めた承諾書には、次のような文言が並んでいた(以下、抜粋)。

「私は、当番組の趣旨を十分理解したうえで、無報酬にて当番組の撮影・収録に参加し、以下のことを了承します」

「私は、当番組のスケジュール・撮影・収録・放送にあたっては、貴社(貴社が指定する者を含みます。以下本条において同じとします)の指示に従い、VTR構成等あらゆる演出について貴社に異議を唱えません」

「私は、当番組の撮影・収録に参加することにより何らの権利を取得するものではなく、肖像権、氏名表示に関する権利、プライバシー権等一切の主張・要求をしないこと、また、当番組に参加した際に著作権、著作者人格権、著作隣接権、その他の知的財産権が発生した場合これらの権利が貴社に帰属すること(略)」

無償であると期待するのは虫が良すぎる

 今回の告発や承諾書の内容に、ネット上では日テレに対する批判が次のように相次いでいる。

「プロとして依頼されたのでしたら、報酬が発生して然るべきかと思います。内容的にも、2日にわたり諸々の協力をなさったということでしたら、局側が無償であると期待するのは少々虫が良すぎるかと」

「さすがにこれは言い訳のしようがないですね。いまどきこんな承諾書があるんですね。これ街録した人にサインしてもらうやつを間違えて渡してしまったのか?と思ってしまいます。間違えて渡したとしても出演してくださった方に失礼だし、間違いじゃなければどんだけ上からなんだよ!って思います」

 一般的な感覚からすれば、テレビ局側が依頼したのにも関わらず、無報酬での協力を求めるのは疑問だ。いったいどのような経緯があったのか。木谷さんに直接、話を聞いた。

木谷さんの証言

「まずメールで『シューイチ』から出演依頼がありまして、打ち合わせを行いました。

 業務内容についての説明はありましたが、出演料に関する説明はありませんでした。業務内容については、中丸雄一さんのコーナーに出演してほしいこと、専門分野の食虫植物の魅力紹介と食虫植物の料理を作ってほしいとのことでした。撮影日がすでに決まっている状態での依頼で、しかも撮影日が翌週という押し迫ったスケジュールで、急ぎの仕事だと把握しました。

 通常でしたら仕事をお受けする前に出演料の交渉をすることが多いのですが、急ぎだということと、食虫植物の手配を各方面にしなければいけない依頼でしたので、経費がかさみそうなことも加味して、事後交渉しようと思っていました。

 まず最初のお話では丸1日の撮影でした。

 1日目は、まず、私がいつもお世話になっている園芸店で食虫植物の基礎知識と魅力を中丸雄一さんに紹介しました。その後、キッチンスタジオに移り、食虫植物料理のコース料理3品を作り、中丸雄一さんと試食しました。スタッフが別のロケで帰る中、ADと一緒にキッチンスタジオの後片付けまでしています。

 2日目は、1日目の撮影で撮りきれなかった食虫植物料理のブツ撮りを追加撮影したいとのことで、私の自宅で、再度1日目の料理を材料から手配し直し、盛り付けまで同じように3品作りました。そのインサート撮影を行いました。スタッフはそのまま帰ったので、片付けまで行っています。

 その2日目の最後に、出演承諾書に署名がほしいと言われたので、内容をきちんと確認したところ、無報酬及び番組の演出に異議を唱えない旨が書かれていたので驚いた次第です。

 こちらが行った業務内容が多くて、かえってご説明するのが難しいのですが、まずロケ地の園芸店の紹介を行い、打ち合わせ時に食虫植物の基礎知識の説明をし、それに基づいた台本6ページの中身も学術的に間違いがないかチェックを行い、それに則って、中丸さんとお話ししました。

 食虫植物料理もこちらがメニュー内容を考案し、材料を手配し、製作し、盛り付けまで行っています。食虫植物自体が高価で希少な植物のため、時間がない中での手配が難しく、仲の良い専門業者さんに無理を聞いてもらいました。2日目は、その料理制作の再現だったので、さらに難しかったですが、盛り付けまで綺麗にでき、自分では良い仕事をしたと思っています」

 以上が木谷さんの証言だ。本件について、当サイトは日本テレビ社長室広報部に見解を問い合わせているが、26日午後7時時点で回答を得ていない。

蔓延するクリエイティブ業界の対価不払いトラブル

 外注先のクリエイティブ関係者に対する業務対価不払い問題が近年顕在化している。例えば2014年、月刊「創」を発行する創出版をめぐる騒動がその一例だ。「創」連載作家の柳美里さんが同社の原稿料不払いの実態をネット上で告発し、炎上した。創出版が書面やメールによる報酬の説明を怠り、口頭であいまいな執筆依頼をしたことが原因だった。最終的に同社が柳さんに原稿料を支払い騒動は収束したが、マスコミ業界に与えた衝撃は大きかった。

 だが、今回は出版不況にあえぐ中小出版社による原稿料遅延ではなく、大手キー局による対価不払い問題だ。承諾書は『シューイチ』のチーフプロデューサー名で署名捺印を求めている。同チーフプロデューサーは制作会社の社員ではなく、日本テレビの社員であることがわかっている。今後の推移を見守りつつ、動きがあり次第続報する。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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