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福井繁雄「Life Happy Wellを目指して」

薬を飲まずに家に余る残薬問題、5百億円規模で国の医療費圧迫 診察料アップの恐れ

文=福井繁雄/薬剤師、一般社団法人Life Happy Well代表理事
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 その背景はさまざまであるが、多くの患者に「薬を貰うことでお金の支払いが発生しているという認識」がまったくない、というのが実情である。治癒の遅れと服用されない薬に対するコストは、結局医療費に跳ね返っていく。医療費が増大すれば、国は引締めに動くこととなり、診療行為に対する支払要件が厳しくなることで、医療機関も患者も負担が増加することとなる。患者・医療者ともに、これらの意識・感覚を修正するための啓蒙活動が必要である。

 なお、参考に社団法人の勉強会で一般の方から発言があった旨を以下に併記する。その内容を見ると、我々薬剤師の役割を見直す必要が実感される。

【調剤薬局で受け取った薬が、自宅に残る理由について】
・薬の説明(薬剤情報)はすぐに捨ててしまい、なんの薬かわからなくなる
・症状が改善し服薬を停止したが、その後自分で服用してよいか判断できない
・OTC薬(処方箋なしでも一般購入が可能な薬)であれば説明が詳細で、かつ自分で選択して買うものなので飲みきるが、調剤薬局で受け取った薬品については症状が治まれば不要と判断する

 これは高齢者ではなく、20~40代の一般の方の話である。調剤薬局で受け取った薬は、OTC薬よりも高価である場合が多いが、このように無駄な残薬となる現状があることは、薬剤師が考えるべき課題ではないだろうか。

(4)診療報酬の審査や要求を厳格化させすぎないため

 (3)で一部触れている内容であるが、医療費が増大すれば、国の対策として診療報酬の規定ならびに審査が厳格化されることとなる。これはつまり、「医療機関が現在行っている診療行為」「患者が現在受けている診療行為」の両方が、「現在の金額負担のまま継続できなくなる」ということにほかならない。

 現在、病院・診療所と調剤薬局のレセプトの突合審査が行われており、ここで病院が出した処方が適切でないと判断されれば、病院に対して当該患者への調剤費用の負担が課される。ちなみに、減額は薬の費用に限らない。内容によっては管理料や技術料も対象となる。調剤薬局は、病院の処方箋に従って処方を行うのみで病名等を把握できないということで、この減額はほとんどない。ただし、疑義照会の責任はもちろんある。

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