旭化成建材が行ったデータ偽装は決して許されることではないが、同社を下請けとして使った三井住友建設や売った当事者である三井不動産にも管理責任があるはずだ。結局、弱い立場の下請け企業に責任をなすり付けて逃げようということなのだろうか。
スーパーやコンビニエンスストアへ買い物に行くと、食品や日用品などでプライベートブランド(PB)商品がよく目につくが、PBでも下請けいじめが横行している。PBは「自主企画商品」と呼ばれ、流通企業などが仕様を企画して、下請けのメーカーに生産を依頼、それを自社ブランドで売るケースだ。流通とメーカーの共同開発のケースもある。有名なものでは、イオングループの「トップバリュ」やセブン&アイ・ホールディングスの「セブンプレミアム」などがある。
トラブル対応を下請けに押し付け
コンビニで売られているPB商品の包装に記されている問い合わせ先が、ブランドを保有する流通企業のケースもあるし、下請けメーカーのケースもあり、会社によって考え方が違う。しかし、自社ブランドでありながら、問い合わせ先はなぜブランド保有者ではなく下請けなのかの疑問が残る。今年10月、あるコンビニのPB商品のリンゴジュースで牛乳混入のトラブルが起こったが、顧客対応していたのはコンビニではなく2次下請けの飲料業者だった。
一方、イオンのトップバリュの場合、問い合わせ先はすべてイオンの本社で対応するようにしている。売ったイオンがすべて責任を持つとの意思表示でもあるそうだ。筆者は、この考えのほうが健全だと思う。万一、PBの食品に毒物が混入し大勢の人に被害が生じた場合、混乱せずに状況を把握して対策を早急に打つためにも、問い合わせ先は売った人、すなわち流通側にしておくほうがリスク管理はしやすいように思うからだ。下請けには中小企業もあり、非常時に混乱を収拾する能力は必ずしも高くない。