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大手コンビニ、下請けいじめ横行の実態!事故対応を丸投げ、売れ残りを強引に返品

文=井上久男/ジャーナリスト
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 しかし、日本では誰が売ったかよりも、誰がどこでつくったのかのほうが重要視される。消費者の一般的な感覚もそうだ。特に食品の場合、誰がどこでつくったものか明示されていないと、消費者が不安がる。特に2013年12月に発覚したアグリフーズ製冷凍食品への農薬混入事件後はこうした声が強まった。同社が複数のPBを生産していたために、消費者が購入を避けたり、商品を回収するためにも、製造者の表記があったほうがいいからである。実際、15年4月施行の食品表示法では、経過措置期間があるものの製造者の表記が義務付けられた。

 こうした消費者の感情や法規を逆手にとって悪用しようと思えば、いくらでもできる。PBブランドでも、すべて問い合わせ先を下請け企業にしてしまえば、トラブル対応などの面倒なことはすべて下請けに回して、利益だけ得ることが可能になるからだ。
 
 理想は、製造者も明記した上で、問い合わせ先はブランドを保有する流通企業にすべきではないか。そうでなければ、「売り手責任」が希薄になる。

優先的地位の濫用

 このPBについては、「大手流通側が下請けに対し、自社ブランドなのに売れ残れば無理やり返品しているケースもあるうえ、PBを安い値段で納品させるのを条件に他の製品も購入するといったケースもある」(食品メーカー関係者)そうだ。これは下請けいじめに近い。実際、公正取引委員会も最近、優先的地位の濫用があるのではないかと見てPBの商慣行に目を光らせている。

 また、「下請けは返品された商品の包装を自社ブランドの包装に換え、改めて再出荷するケースも多い」(同)という。PBは流通側の自主開発と謳いながら、実際は下請け企業に開発を丸投げしており、下請けが自社ブランドで売っている製品と中身がまったく同じだからできる対応といえよう。

 昨年夏、消費期限切れ中国製食肉を使ったチキンナゲットの問題の際にも「売り手責任の欠如」を感じた。当事者企業は「中国製なので」を強調してお詫びしていたが、中国製であれば、そうしたリスクを想定して対策を講じておくのが「売り手責任」というものだ。
 
 大手流通にしても、アマゾンのようなネット通販企業にしても「売る仕組み」をつくった会社が「権力」を握る時代になった。納入業者はそうした「仕組み」に頼らないと、モノが売れない時代になっている。競争社会の中で、企業努力を積み重ねて「仕組み」をつくったことは評価されるべきだが、それがいつの間にか「驕り」につながっているのではないか。こうした企業の中には、下請けだけではなく、従業員までにも過酷な労働を強いてブラック企業扱いされているところもある。

 結局、立場の弱い側がすべての責任を押し付けられる風土が日本の企業社会には蔓延しているように思えてならない。
(文=井上久男/ジャーナリスト)

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