今年のブラック企業大賞候補にノミネートされていたのは、セブンのほか、暁産業、フジオフードシステム、エービーシー・マート(ABCマート)、明光義塾を運営する明光ネットワークジャパン、アリさんマークの引越社を運営する引越社関東の6社だった。
セブンへの受賞理由として実行委は、販売期限の近い弁当などを値下げする「見切り販売」を妨げるなどしてフランチャイズ加盟店から搾取しており、そのしわ寄せがアルバイトに及んでいるとしている。実行委メンバーの佐々木亮弁護士は「フランチャイズという歪んだ構造に問題がある」と語った。
また、「週刊誌などは(今回の受賞を)取り上げないのではないか」と指摘した。新聞や週刊誌の販売は今やコンビニエンスストアに大きく依存し、テレビCMの巨額な宣伝広告費を考えれば、セブンのメディアへの影響力は絶大だからだ。実際、昨年の大賞は広告を大量に流しているヤマダ電機だったが、その報道は限定的だったという。
大賞以外では、「ブラックバイト賞」に明光、「ありえないで賞」に引越社関東、「特別賞」に暁産業が選ばれた。なお、一般からの投票で決まる「Web投票賞」は引越社関東だった。2万票あまりの投票のうち1万票以上を集めて、2位のセブンを大きく引き離した。
ブラック企業大賞は弁護士やジャーナリスト、学者などでつくる実行委が主催し、今年で4回目。12年に東京電力、13年にワタミフードシステムズ、14年にヤマダ電機が大賞に選ばれている。実行委は毎年、ノミネート企業を授賞式に招待しているが、これまでに1社も出席したことはない。今回もノミネートされた6社の関係者は姿を現さなかった。賞状と副賞は実行委が受賞企業に送付するとしている。
各社の受賞理由
※以下、「ブラック企業大賞2015」の公式サイトより抜粋
【大賞】セブン‐イレブン・ジャパン
2013年8月、フランチャイズに加盟する店主4人が、販売期限が近い弁当などを値下げして売る「見切り販売」の権利を同社から妨害されたとして損害賠償を請求していた裁判で、東京高裁は妨害の事実を認め、セブン側に計1140万円の支払いを命令。14年10月に最高裁が本部、加盟店双方の上告を棄却したことで判決が確定した。セブン本部による見切り販売妨害については09年に公正取引委員会が、独占禁止法が禁じる「優越的地位の濫用」に当たると認定し、排除命令を出していた。