セブンだけでなくローソン、ファミマへと、あっという間に24時間営業が広まっていき、80年代前半にコンビニの大半が24時間営業に切り替わった。食品・日用品や物流業界ではコンビニの24時間営業を前提とした流通の仕組みができあがった。
全国のコンビニ店主を対象とした経済産業省の調査結果(11月5日発表)によると、休日が週に「1日以下」との回答が全体の85%を占めるなど、厳しい労働環境が浮き彫りになった。店主からは「深夜勤務は当たり前で休暇は27年間で1度もない」という過酷な状況を訴える声が寄せられた。
コンビニは深夜に商品が搬入され、検品や陳列、清掃をする。物流が同じままでは、営業時間を短くしても加盟店の苦しい状況は変わらない。加盟店が自主的に営業時間を決められるようにするには、商品の生産や配送などにまで踏み込んだ改革が必要不可欠になる。
閉店中、商品の配送体制をどうするのか。「年中無休」を掲げてきたコンビニのビジネスモデルを転換させるのは、とてつもない力仕事なのである。コンビニ各社の経営陣、本部の覚悟のほどが問われている。
直営店方式で営業時間短縮を実現した北海道のセコマ
コンビニ改革で注目されている企業がある。北海道でコンビニチェーン、セイコーマートを運営するセコマ(旧商号・セイコーマート、札幌市、非上場)だ。経産省がフランチャイズ加盟店との共存共栄に向けた行動計画の策定をコンビニ各社に求めたことを受けて、今年4月、「セコマのコンビニエンスストア事業について」と題した報告書を公表した。
セコマは1181店舗(11月現在)を展開しているが、そのうち約8割が直営店舗(3月末時点)。FC店中心の大手に比べてFC店の比率が圧倒的に低い。営業時間は午前7時から午後11時までの16時間を原則としており、各店の事情に合わせて営業時間を柔軟に設定できる。24時間営業店舗は全体の22.8%にとどまる。18年からは半数以上の店舗で元日を休業にした。
価格設定はフランチャイズ契約によって定めるのでなく、加盟店の個々の裁量で値下げ販売ができるようになっている。これで店舗の廃棄ロスの負担が軽減した。加盟店にはテリトリー権がある。既存店の半径150メートル以内には原則として新店を出せない。本部に支払うロイヤリティー(加盟料)は粗利益額の10%。大手に比べて大幅に低く設定している。大手は粗利益の40~60%をロイヤリティーとして本部に支払う仕組みになっている。ちなみにセブンは約60%を本部が取る。