丸谷智保社長(65)は慶應義塾大学法学部卒。北海道拓殖銀行、米シティバンク在日支店勤務を経て、07年セイコーマートに入社。09年に社長に就任した。「コンビニは直営化しないと成長できない」が持論。FC店を直営店に切り替えていった。直営店方式を採ったことで、ロイヤリティーの“呪縛”がなくなり、営業時間を自由に設定でき、過疎地域にも出店が可能になった。
都道府県別で、人口10万人当たりのコンビニの店舗数は北海道が57店で全国平均の45店を上回り首位。コンビニの商圏人口は3000人が標準で最低でも2000人が必要とされるが、セイコーマートは商圏人口1000人程度の過疎地にも小型店を出している。このため北海道は人口あたりの店舗数が多くなっているのだ。それでも経営が成り立つのは食品や日用品を多く揃え、小型スーパーの役割を担っているからだ。直営店だから可能な店舗戦略といえよう。
大手コンビニ3社はFC店の比重が大きい。確かにFC店がコンビニ企業の成長のアクセルとなったが、今ではこれが身動きが取れない一因となっている。コンビニ企業の硬直化したヘッドクオーター(本部)の発想の転換こそが求められている。コンビニの危機の元凶は本部にある、との厳しい指摘もある。
セブンの危機の実態
セブンでは本部社員が店主に無断で商品を発注していたことが明らかになった。関係者によると、こうした悪癖は鈴木敏文“天皇”の時代からあったという。セブンの中央集権的な体質がモロに露呈した。
セブンの永松文彦社長は「無断発注ホットライン」と名付けたフリーダイヤルの電話窓口を設け、12月26日までの1カ月間、24時間体制で店主のクレームを受け付ける、とした。
「無断発注などやりたくないが、各店の売り上げが、我々(本部社員)の評価に直結する。生き残るための最後の手段が無断発注」(セブンの関係者)
荒涼たる実態が明らかになってきた。セブンだけではないが本部は次々と新製品を登場させ、本部社員が、「店舗の経営指導」の名目で各店のオーナーに新製品を売り込む、このシステムが見直しを求められている。中央集権的度合いの強いセブンは経営の正念場だ。時短営業だけではなく、商品政策を含めてコンビニ本部が変わらないと、コンビニの危機はますます深刻の度を増すことになる。
(文=編集部)