ここ数年、繁華街のみならず都内各地に急増しているケバブ店。フェス会場などでは以前からお馴染みだったが、最近はお祭りなどにも出店しており、ケバブ店の日本一を決める「KEBA-1グランプリ」なるイベントも開催されている。
中東の料理であるケバブの店が、なぜ国内に急増しているのだろうか? その理由を探ってみた。
半年で急激に増加した在日トルコ人
現在公開中の日本・トルコ合作映画『海難1890』(東映)でも描かれているように、1890年のエルトゥールル号遭難事件以来、日本とトルコは125年に及ぶ友好関係にある。
法務省の在留外国人統計によれば、日本で暮らすトルコ人の数は2015年6月末時点で4526名だが、気になるのは、ここ最近で在日トルコ人が急激に増加していることだ。14年12月時点では同3654人だったが、イラク・シリア情勢の影響もあるのか、約半年で872人も増えている。これが、ケバブ店の増加にも影響を与えているのだろうか?
「確かに、来日したトルコ人が日本で仕事をする際の選択肢として、得意分野であり、日本でもよく知られるようになったケバブ店を始めるケースは少なくないかもしれません」
そう語るのは、トルコ商品の輸入販売やトルコレストランの経営、ドネルケバブの肉の卸売りなどを行うトゥーバトレーディングの広報・渡辺氏だ。
そもそも、「ケバブ」はトルコで焼き肉料理全般を指す言葉で、さまざまな種類がある。そのうち、味付けした肉を積み上げ、円柱形に形成して回転するグリラーで焼き上げるのが「ドネルケバブ」と呼ばれるものだ。表面の焼き上がった部分から薄くそぎ落とし、パンに挟んだものを「ドネルケバブサンド」といい、野菜を添えたりソースをかけて食べることが多い。
ドネルケバブに限れば、グリラーと冷凍庫、冷蔵庫、手洗い所程度の設備で店を始めることができる。初期投資が比較的少なくて済み、最低1坪ほどの広さがあれば作業できる点などが、ケバブ店が増えている背景にあるようだ。
若者にとって「身近なファストフード」のケバブ
また、例えばアラフォー世代の場合、「存在は知っているけれど、あまり食べる機会がない」という人が多いと思われるが、今の若者はケバブを身近なファストフードとしてとらえているという。
「大きなお祭りや、野外フェスなどのイベントでも、ケバブ店の出店が多くなっていますし、道の駅などでも、移動販売車による出店を見かけたりします。大学の文化祭でも人気ですし、若い世代にとって、ケバブは身近なファストフードとして認知されているのではないかと思います。