ファーストリテイリングが展開するカジュアル衣料品店「ユニクロ」の失速が話題になっている。
ユニクロといえば、長らくアパレル業界で一人勝ちしていたはずだが、最近は営業利益、来客数、国内既存店売上高などが軒並み下降線をたどり、「一人負け」「マクドナルドの二の舞い」とも揶揄される状況に陥っているのである。
その最大の原因とされているのが、相次ぐ商品価格の値上げだ。2014年の秋冬商品を値上げしたのを皮切りに、昨年は春夏と秋冬の新商品の約2割を値上げするなど、いまや新商品全体の値上げ幅は10%にもおよぶ。
ユニクロが消費者に支持された一番の理由は「安さ」にあっただけに、相次ぐ値上げで「ユニクロ離れ」が起きているのだ。では、ユニクロの商品はどれくらい高くなったのか。実際に店舗を訪れて確認した。
軒並み1000円ほど高値に、約1万3000円のジャケットも
向かったのは、JR新宿駅西口すぐの好立地にある新宿西口店だ。地下1階、地上4階の大型店舗で、世界一の乗降客数を誇るターミナル駅の近くというだけあって、平日の昼間でも絶えず客が出入りしている。
店内は、ほかの店舗と同様に白を基調とした内装で、色やサイズごとに整理された衣料品が整然と陳列されている。各フロアで定番商品などの価格をチェックすると、すぐにわかったのは「やはり、ユニクロは高くなっている」という事実だ。
例えば、売れ筋商品のジーンズは、数年前まで2900円(税別、以下同)だったが、現在は「スリムフィットジーンズ」をはじめ、ほとんどが3990円になっている。
メンズの「ジョガースリムフィットジーンズ」のみ2990円の値札が付いていたが、これは腰回りがゆったりしたデザインも素材も、ほかのジーンズとは異なる商品だ。
同じく人気商品で種類も豊富なカシミヤ入りのニットも、かつては1500円で購入することができたが、いまはメンズ・レディースともに最低価格は1900円で、レディースのカシミヤ100%「カシミヤクルーネックカーディガン」などは6900円もする。
また、オフィスカジュアルとして活用できる無地のワイシャツも、2年前なら1200円程度だったが、今年は一番安い商品でもメンズ・レディースともに1900円。コットン100%の「ファインクロスシャツ」(メンズ)や「エクストラファインコットンチュニック」(レディース)などは、2990円である。