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鮫肌文殊と山名宏和、と林賢一の「だから直接聞いてみた」 for ビジネス

ロボットレストランは総工費●●億円だった!?

文=鮫肌文殊
ロボットレストランロボこえぇぇ! でもちょっと行ってみたい。
(「ロボットレストランHP」より)

人気放送作家の鮫肌文殊氏と山名宏和氏が、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問を直撃解決!する連載「だから直接聞いてみた」。月刊誌「サイゾー」で連載されていた同企画(宝島社より単行本となって発売中!)が、ビジネスジャーナルにて復活! 

 今週は、鮫肌文殊氏が、東京新宿にオープンしたロボットレストランの総工費100億円について、疑惑を直撃した!

[回答者]ロボットレストラン予約センター 様

 最近のテレビバラエティは、昔のようにあざとい引っ張り方をすると視聴者が嫌がるため、そうした手法は自粛傾向にある。番組のオープニングのVTRで肝心のところをマル秘マークのテロップで隠しながら「衝撃映像100連発!」って煽りまくるとか、CM前に「この後、いったいどうなってしまうのか!?」とナレーター渾身のシャウトが入るとか、まあ見ているだけで暑苦しくなる過剰演出気味なアレがアウトなんですわ。

 いくら番組側が煽り立てても、現代日本の視聴者は、老若男女テレビを見るプロばかりなので「はい、はい、煽るだけ煽っておいて、どうせたいしたこと無いんでショ?」と冷めた目で見られるのがオチである(実際たいしたことない事が多いしね)。

 大昔、私の担当していたある番組では、オープニングVTRで「この後、凄いことが起きる!」ってガンガン煽っておいて、結局、番組のエンディング直前、最後の最後にその衝撃映像を寸止めで見せてから「この続きは来週!」(笑)。なんと週をまたいで引っ張ったことさえあるものなあ。よくそんなムチャクチャが許されていたものである。今、そんなことやったらツイッターだなんだで、非難轟々お祭り騒ぎであろう。

 まだネットも普及していなかった時代、そんなドイヒーな引っ張りを見せられても「チックショー、まんまと騙されてしまったぜ。ま、来週また見りゃいっか」とあきらめてくれるオトナな余裕が、視聴者の皆さん側にもあったんだと思う。どの業界もそうでしょうが、今やちょっとでも非を見せた相手には、よってたかって正論ふりかざしてボッコボコに叩きまくる時代ですから。まあ、それにしても昔のテレビの煽り方はヒドすぎた。完全なオオカミ少年。そりゃ視聴者もテレビ離れしちゃいますって。

 そんな風に反省しきりなタイミングで見つけた、ここんとこ新宿や渋谷の街なかを凄い音量で走りまくっている宣伝カー。なんだありゃ。見ると、ロボットレストランと書いてあり、巷で話題らしい。中でも目を引くのがその宣伝カーの車体にでっかく書かれたそのキャッチコピー。「総工費100億円」……また大きく出たものである。正直、昔の煽りすぎなテレビバラエティのノリを思い出して嬉しくなっちゃう大風呂敷っぷり! いいね~!

 だから直接、ロボットレストラン予約センターに聞いてみた。

『最近、街中でロボットレストランの宣伝トラックをよく見るんですが、車体に書かれてる「総工費100億円」って本当なんですか?』

担当者 ロボットレストランというお店が新宿の歌舞伎町にありましてですね。そちらの総工費ということになります。

――それは分かるんですが、レストランのどこに100億円もかかるんですか? ロボットもビルも含めてということですか?

担当者 はい。そうです(キッパリ)。

――ちなみに、ロボット自体の金額はどれぐらいするんですか?

担当者 ロボットは何体もあるんですけれども、1体1億円ぐらいからとなっております。

――1体1億円!? そんなにかかるんですか?

担当者 正味、実際に出るのが6台とですね、あとお客様に自由に乗って楽しんでいただくために2台置いてあります。あと他にも別のロボットが多数あります。

 なんと! 巨大ロボットが一体1億円もするとは! そんなにかかってるなんて……。1億円を全く感じさせないチープな作りなんですけど(笑)。で、肝心なところをスバリ聞いた。

――そのロボット1体1億円として、10体動いたとしたら10億円じゃないですか。で、残りの90億円は何に掛かっているんですか?

担当者 あのー。お店に来ていただければ分かると思うんですが、非常に(お店の内装が)派手なんです。そのようなところで総工費が100億円ということになっております。是非見てみてください。さくら通りというところにございます。

 最後は、セールストークをされてしまったぜ。でも、担当者の話によればロボットも含めて総工費100億円はマジだそうである。こりゃこの目で見て「これだったら100億かかるわ」と確かめるしかないようだ。噂によればけっこうセクシーな要素もあるらしいし。誰か一度、一緒に行ってみませんか?
(文=鮫肌文殊)

鮫肌文殊

鮫肌文殊

1965年神戸生まれ。
高校二年の春、雑誌「ビックリハウス」の第17回エンピツ賞(小説)受賞を皮切りに、賞を総なめ。若干19歳で短編小説集「父しぼり」(長征社)を発表。NHK 特集への出演を機に中島らも氏の知己を得て、放送作家活動をスタートする。
1990年、松尾貴史の勧めで上京。現在に至る。
パンクバンド『捕虜収容所』のボーカルやDJでの音楽活動。テレビメディアに関するエッセイ等でも活躍中。

Twitter:@samehada19

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