ビジネスジャーナル > 企業ニュース > オイシックス、新型コロナで注文3倍
NEW

オイシックス、新型コロナで注文数3倍に…ワタミ、弁当宅配を一食200円に値下げ

文=編集部
【この記事のキーワード】, ,
オイシックス、新型コロナで注文数3倍に…ワタミ、弁当宅配を一食200円に値下げの画像1
「オイシックス HP」より

 東京株式市場では新型コロナウイルスの感染拡大を懸念し、不安定な値動きが続くが、コロナウイルス禍をビジネスチャンスとする企業群にスポットライトが当たっている。なかでも、オイシックス・ラ・大地(東証マザーズ上場)は内食需要を取り込む銘柄として注目されている。

 オイシックスの株価は、2月26日に一時143円(13%)高の1267円まで上昇した。終値は9%高の1223円。上昇率はこの日の東証マザーズで5位。売買代金は前日の4倍に膨らんだ。オイシックスは野菜などの生鮮食品や、下ごしらえした食材とレシピをセットにした「ミールキット」の宅配を手がける。

 にわかに材料視されているのが「巣ごもり消費」だ。新型コロナウイルスの感染が国内で広がっているのを受け、外出を控える消費者の需要にどの企業が応えるのかと銘柄探しが行われている。

 買いの主体は短期志向の個人投資家だ。持続的な株高につながるかどうかは読み切れないところがあるが、同社が「巣ごもり消費」に向けた商品提案を進めていることが評価された。3月5日、オイシックスの株価は反発。一時は前日比49円高の1307円をつけた。終値は前日比27円高の1285円。「昨年来高値は昨年1月17日の2140円だから、値上がりの余地は残っている」と、強気のアナリストがいる。

会員向け宅配サービスは3倍の伸び

「ミールキット」は、家族の人数分に合わせ、定期的に一定の数量の食材を宅配している。主菜と副菜の2品が20分程度で完成するキットで、オイシックスが契約した農家の野菜が提供される。人気商品は「そぼろと野菜のビビンバ」(1814円)。3月1日の注文件数は、休校要請が出た直後の2月28日に比べ3倍に伸びた。

 全国の小中学校の臨時休校の要請があり、給食向けの牛乳が宙に浮く事態となった。オイシックスは3月5日、給食用の牛乳の売り先を確保する取り組みを始めた。三重県四日市市の酪農家のグループが生産する牛乳を、通常より3割安い値段で提供する専用コーナーをサイト上に緊急に開設した。このグループは1日当たり7トンの牛乳を地元の学校に提供していた。家庭で牛乳を飲む量を増やすのには限度がある。クリームスープやイチゴミルクなど牛乳を使うメニューのレシピをコーナーに掲載。牛乳を家庭で消費しやすくするよう工夫した。余った牛乳の支援コーナーは4月初めまで続ける予定だ。こうした取り組みによりオイシックス株に関心が高まった、との見方もできる。

 新型コロナウイルスの汚染拡大を懸念し、多くの銘柄が下落するなか、オイシックス株は堅調に推移している。

「ミールキット」の会員は1年で5割増

 ベンチャー起業家の高島宏平氏がオイシックスの社長だ。1973年生まれの団塊ジュニア世代。東京大学大学院修了後、コンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。独立し、2000年6月、オイシックスを設立。ネットによる野菜の通販「Oisix(おいしっくす)」を立ち上げた。

 会社が軌道に乗るまで12年かかった。野菜を仕入れるために、農家を訪問しては、門前払いされた。それでもあきらめずに、農家を回って説得に当たった。資金繰りがつかず、倒産の危機を幾度もくぐり抜けてきたという。

 ようやく、リピーターの客がつきはじめ、2013年3月、東証マザーズに上場。17年10月、有機野菜栽培のパイオニア「大地を守る会」と合併。18年1月、NTTドコモと資本業務提携。同年10月、ドコモの完全子会社で、有機・低農薬野菜販売の「らでぃっしゅぼーや」を経営統合し、オイシックス・ラ・大地に社名を変更した。そして、自然派食品宅配の最大手となった。

 20年3月期の連結決算の売上高は前期比9%増の700億円、営業利益は5%増の22億円を見込む。だが、純利益は58%減の10億円にとどまる。台風により契約生産者20団体でハウス倒壊など甚大な被害が発生したためで、これが最終利益を押し下げた。

 会員数は23万人を突破、19年3月期より20%増加した。なかでも、「ミールキット」の会員数は14万人と前期より5割増のペースで伸びた。21年3月期は最終増益を確保するつもりだ。

ワタミの宅食は600円の弁当を200円で提供

 外食チェーンのワタミは、3月9日から弁当宅配サービス「ワタミの宅食」を、休校になったため自宅で過ごす子どもたちを対象に届けるサービスを始めた。1食あたり600円のお弁当を200円で提供する。期間は4月3日までで累計50万食分を届けることにした。注文の受け付けを始めてから2日間で400万件の問い合わせがあったことから、ワタミは別のサービスを考えている。

 宅配ポータルサイト運営会社、出前館(ジャスダック上場)と、弁当デリバリー「くるめし弁当」を運営する、出前館のグループ会社、日本フードデリバリーは3月2日から、児童養護施設などへ食事の無償提供を始めた。

 ローソンは3月10日から全国の学童保育施設におにぎり38万個の無償提供をするなど、一斉休校で孤立した学童・生徒への支援の輪が広がった。デリバリーの需要増をにらみ、宅配スタッフの求人が増えている。単発バイトの老舗で04年から「ショットワークス」を運営するインディバル(東京・千代田区)では、2月に宅配業者の求人件数が6割増えた。宅配事業を強化する各社が配達員の確保に動いたためだ。インディバルはコンビニに特化した「ショットワークスコンビニ」をスタートさせ、利用店舗は1年で倍増した実績がある。同社は採用代行業務を行うツナググループ・ホールディングス(東証1部上場)の傘下企業である。

「巣ごもり消費」の長期化で冷凍食品に追い風

 小中高の一斉休校や、プロ野球やイベントの開催中止によって、消費者の巣ごもりへの意識は長期化する。冷凍食品はすでに需要が拡大しているが、これでさらに活況を呈することになるかもしれない。

 株価にも、こうした長期化のトレンドが反映されている。3月9日の東京株式市場で冷凍食品大手のニチレイ株が一時、前週末比4%(122円)高の2887円まで買われた。終値は2%(68円)高の2833円。上場している食品の主要銘柄のなかで、ニチレイは唯一、値上がりした。3月11日には全体が安くなる流れに抗することができず2658円(125円安)と反落した。ニチレイでは「休校で弁当用食材の販売は減ったが、米飯や麺類など簡単に食べられる冷凍食品の売り上げが伸びている」という。“緊急避難”でニチレイの冷凍食品を食べたユーザーが、その後、リピーターになることは東日本大震災の時にも見られた現象である。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

Business Journal

企業・業界・経済・IT・社会・政治・マネー・ヘルスライフ・キャリア・エンタメなど、さまざまな情報を独自の切り口で発信するニュースサイト

Twitter: @biz_journal

Facebook: @biz.journal.cyzo

Instagram: @businessjournal3

ニュースサイト「Business Journal」

オイシックス、新型コロナで注文数3倍に…ワタミ、弁当宅配を一食200円に値下げのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!