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細谷氏の“遺言”か? りそなHD社長に東和浩副社長

再燃する埼玉りそな独立運動と公的資金残高8716億円返済後の行方

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 JR東日本出身の細谷氏は旧3行とのしがらみがなかった。だから組織をまとめることができた面がある。東氏は旧埼玉銀行出身だ。細谷氏という鎹(かすがい)を失った今、埼玉りそな銀行の県民銀行化構想にどう向き合うのかが問われる。

 りそなHDと傘下の埼玉りそなとの間で、これまで2回バトルがあった。1回目は不良債権を抱えた旧大和銀行を引き継いだ、埼玉りそな銀行に公的資金が注入された03年。埼玉県に大きな地盤を持っていた埼玉りそな銀は、資金的に問題はなく公的資金は不必要だった。そこで、りそなHDから分離する運動が起きた。

 03年12月、埼玉県の上田清司知事(当時)、さいたま市の相川宗一市長(同)など、地元経済界は埼玉りそな銀に出資して県民銀行化する計画を発表した。りそなグループは公的資金の注入で実質国有化されたので、県や地元経済界の意向が反映されにくくなるというわけだ。

 りそなHDが保有する埼玉りそな銀株式の50%程度を県と市と地元経済界が買い取り、県民銀行にするという構想だった。埼玉りそな銀株式を買い取る受け皿となる組織の代表には衣料小売チェーン、しまむらの藤原秀次郎社長(同)の就任が内定していた。埼玉りそな銀の内部でも利根忠博社長(当時)が中心になって独立を模索する動きがあった。

 上田知事は政府や金融庁、りそな銀行に公的資金を投入した預金保険機構に働きかけた。竹中平蔵金融相(同)は出資問題について、りそなの経営陣に最終判断を委ねた。

 ゲタを預けられた、りそなHDの細谷会長の答えは「ノー」だった。巨額の公的資金の返済は、りそな銀行単体ではムリ。埼玉りそな銀の収益も返済計画に組み込まれていた。埼玉りそな銀に外部の資本が入れば公的資金の返済計画に支障が出る恐れがある。だからノーという結論になった。

 これで県民銀行にする構想は、いったん頓挫した。だが、完全に消えてしまったわけではない。りそな銀行は全国に支店を持っており普通であれば、りそな銀行埼玉支店でいいはずなのに、わざわざ埼玉りそな銀行という別法人にしていた。細谷会長が将来、埼玉りそな銀を本体から切り離すことを想定しているからだと、地元では解釈していた。

 2回目のバトルは09年4月。埼玉りそな社長に旧協和銀行出身の上條正仁氏が就任した時だった。細谷会長は、それまで埼玉りそな銀のトップには旧埼玉銀行出身者を送り込んできたが、これが踏襲されなかった。この頃、細谷会長は「公的資金の返済に一定のメドがついた段階で、組織の再編を検討する」との意向を表明した。三井住友フィナンシャルグループとの統合が視野に入れているとの観測が金融界を駆け巡った。

 これに埼玉県内の経済界は猛反発した。そもそも埼玉県民、さいたま市民や行員には、埼玉りそな銀が大阪の銀行だという意識はゼロ。首都圏の銀行だと自負していた。

BusinessJournal編集部

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