社員が次々と介護離職…企業の存亡を揺るがす経営問題に 業務回らず職場混乱と人材流出
総務省統計局が発表した人口推計 によれば、すでに高齢化率(65歳以上人口が総人口に占める割合)は26%を超え、4人に1人強となっている。
さらに今後、高齢化率は上昇を続け、平成47(2035)年に33.4%で3人に1人、平成72(2060)年には39.9%に達して、国民の約2.5人に1人が65歳以上となる世界に類をみない高齢社会が到来すると推計されている。
必然的に、介護離職問題は、業種や規模に関係なく、今後の経営課題の要のひとつといっても過言ではない。
介護に優しい企業は付加価値に?
企業は、どこも生き残りのためにいろいろな対策を立てているが、知っていただきたいのが、今後の労働力人口だ。
総務省統計局が発表した人口推計(平成27年10月1日現在の人口速報を基準とする確定値)によれば、平成27年10月1日現在の総人口は約1億2711万人である。労働力の中核となる15歳から64歳の人口は約7708万1000人で、総人口に占める割合は60.6%を示す。
内閣府の推計(平成27年版高齢社会白書)では、平成42(2030)年の総人口は、約1億1662万人で、15歳から64歳人口は約6772万9000人である。総人口は現在より1049万人減少し、15歳から64歳の人口も935万2000人の減少と推計されている。15歳から64歳の人口が総人口に占める割合は、58.1%まで減少する計算だ。
さらに、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口」(平成18年12月推計)による各年10月1日現在の推計人口(出生中位・死亡中位の推計値)から、2030年の年代別の人口をピックアップした(筆者作成)。
30年において、実は総人口に占める割合の高い年齢が55歳から59歳の8.1%、次いで60歳から64歳の7.1%、50歳から54歳の7.0%と続く。
この表から、驚くべき実態がみえてくる。それは、30年には、労働人口の割合が高いのは、親を介護する必要に迫られる50歳から64歳、逆に20代・30代の割合は少ないことが読み取れることだ。
つまり、企業にとって介護問題への対策は「不可欠な企業防衛」であり、超売り手市場となる労働市場から少しでも優秀な人材を採用するための、生き残りの極意ともいえないか。