「持続可能な社会を目指す富山市のコンパクトシティの取り組みを賞賛したい」
伊勢志摩サミットが開催される直前の5月16・17日に、富山市でG7環境大臣会合が開かれた。米国のジーナ・マッカーシー環境保護庁長官は共同会見でこう述べた。富山市は「公共交通を軸としたコンパクトなまちづくり」をはじめ、さまざまな環境施策を進めている。その取り組みが国際的に評価されたのである。
G7環境大臣会合が開かれたのは7年ぶりのことだ。今回は地球温暖化対策、資源の効率化、海洋ごみなど7つの議題が話し合われた。課題解決に向け前向きな姿勢は感じられるものの、「踏み込めていない」「具体性に欠ける」などの指摘も出ていた。
そうしたなか、食べ残しによる食品廃棄物の削減など資源の有効利用について継続的に取り組むビジョンをまとめた「富山物質循環フレームワーク」が採択されたことが注目された。
伊勢志摩サミットの首脳宣言にも「『富山物質循環フレームワーク』を支持する」と明記された。
地元紙では「レジ袋削減などにいち早く取り組んできた富山の名前をビジョンに冠したことは意義がある」といった声が紹介されていた。
地元住民から、「こんな大掛かりな国際会議は最初で最後かね」「歓迎旗やラッピングしたセントラムなどサミット一色だった」といった声が聞かれた富山の環境サミットは、ひとまず成功裏に終わった。
街中を走るレトロな路面電車と最新のLRT
昨年3月に北陸新幹線が開業したことに伴い、JR富山駅前は再開発や整備が行われ、モダンな建物と開放的な広場が印象的な場所になった。その駅舎の1階部分に路面電車が発着するホームが直結している。新幹線の改札を出た乗客は、わずか1分で路面電車乗り場に着くことができる。この路面電車が非常にユニークだ。昭和の時代に製造されたレトロな車両からポートラム、セントラム、サントラムといったヨーロッパで見かける新型LRT(次世代路面電車システム)まで何種類もの電車が走っている。その光景を眺めているだけでも楽しくなる。
さらに、駅前など20カ所に自転車の貸し出しステーションが設置されている。「アヴィレ」という自転車市民共同利用システムが整備されているのだ。ホームページで登録を行い、基本料金を支払い、パスを入手して利用するシステムで、24時間利用可能である。30分以内の利用は無料となっている。