絶望から奇跡の完全復活…ソニー平井社長が激白、4年の覚悟の「構造改革」全真相
感性価値
片山 「収益重視」を掲げて「量」より「質」を重視すれば、組織や人事などあらゆることが変わるのではないでしょうか。
なかでも大きかったのは、投資の在り方の変化です。15年2月の「第二次中期経営計画」で、事業領域を3つに分け、投資の「選択と集中」を行いましたね。デバイス、ゲーム・ネットワークサービス、映画、音楽などの「成長牽引領域」、デジカメ、放送機器、オーディオ機器関連の「安定収益領域」、スマートフォンとテレビの「事業変動リスクコントロール領域」の3つに分類して事業領域ごとに資本投下に強弱をつけた。これはすごい、よく思い切って分けたと思いました。この発想はどこからきたんですか。
平井 私と、吉田憲一郎(最高財務責任者<CFO>)と、当時本社にいた十時裕樹(ソニーモバイルコミュニケーションズ社長/ソネット社長)など数人で議論しました。何しろ一律な「ワン・サイズ・フィッツ・オール(万能の解)」はないよね、と議論するなかで出てきたアイデアです。
片山 「事業変動リスクコントロール領域」の部隊が、反発する可能性だってあったわけでしょう。
平井 実際、高木あたりが、「いつまでも俺たちはこうじゃない、領域を変えてやる」くらいのことを言っていますよ。
片山 私はソニーを長く見てきましたが、現場に危機意識があるんだろうかという疑問をずっと持ってきました。とくにエレキは主流中の主流だから、危機意識を持ちにくかったのではないでしょうか。
平井 危機意識を持たせるためにしたことは、私が責任者として、VAIOのように「撤退するビジネス」、テレビのように「続けるビジネス」とメリハリをつけたことがひとつです。
それと、「感性価値」という表現を、この1~2年くらいで始めました。私たちのエレクトロニクスのビジネスは、スペックはいいんですが、価格で勝負したら負けるに決まっている。私たちの資産は、高いスペックのうえにデザインなど感性に訴える部分があることです。それを大事にしようと訴えてきて、浸透してきた気はします。
片山 具体的に「感性価値」というと。