絶望から奇跡の完全復活…ソニー平井社長が激白、4年の覚悟の「構造改革」全真相
片山 いやいや、ソニーは本来ハードの会社ですので、最初にハンディを抱えていらっしゃったのはわかりますよね。
平井 だからまず、きちんと求心力をグリップすることに苦労しましたね。それをやらないと、右だ左だ、上だ下だと言っても、現場やマネジメントが「いやいや」って言うようでは全然ダメですから。
片山 求心力を得た後、エレキの黒字化は「一律に規模を追わない」と平井さんがはっきりとおっしゃったことが大きいと思うんですね。平井改革は「量」から「質」への転換、すなわち「収益重視」で一本筋が通っている。
平井 最初は「規模を追わない」といっても、「モデル数が減ると量販店のスペースを削られる」とか、販売会社(以下、販社)など営業サイドから拒む理由は多く出ました。じゃ、それで儲かるのかというと、儲からない。「それはダメでしょ」ということを浸透させていきました。
片山 それにしても、10年赤字続きだったテレビは、どうして黒字化できたんですか。4Kなど付加価値の高いものに特化したというのは、わかりやすい説明ではありますが。
平井 私がテレビ事業の責任者になった11年、事業全体をエンドトゥエンドで全部ばらして分析しました。見えてきたのは、販社のコストが高過ぎるなど、つらい現実です。そこにメスを入れなければならないという結論は、たぶん誰が見ても同じだったと思います。問題は、その結論に対してアクションを起こせるかどうかです。時間はかかりましたが、販社も含めてコストを一気に下げる作業をした。これが黒字化のいちばんの理由です。
あとは、「規模を追わない」ことを浸透させた。地域によって、台数ベースのボーナスを変えるなど、細かいところをひとつずつ変えていきました。
それから、インドでテレビのシェアを1位にしてくれた玉川勝(現グローバルセールス&マーケティングオフィサー)に、ヨーロッパにいってもらったあと、日本に帰ってきてもらいました。現在、高木一郎(現執行役EVP、ソニービジュアルプロダクツ社長、ソニービデオ&サウンドプロダクツ社長)の下でワールドワイドのマーケティングを見てもらっています。彼の徹底的な超現場主義の功績もありますね。