大手百貨店の6月の売上高(既存店ベース、速報値)は、そろってマイナスだった。5社すべてが減収になったのは2カ月連続で、インバウンド(訪日外国人)需要に支えられてきた宝飾品など高価格帯の商品が不振だった。
三越伊勢丹は前年同月比5.3%減、大丸松坂屋は7.1%減、そごう・西武は3.4%減、高島屋は2.5%減、阪急阪神百貨店は1.8%減だった。
主力店舗について、マイナス幅の大きい順に並べると次のようになる。
【6月の売上高の対前年増減率】
(1)銀座三越 ▲11.0%
(2)松屋銀座 ▲10.7%
(3)大丸京都店 ▲ 7.0%
(4)伊勢丹新宿店 ▲ 5.7%
(5)松坂屋名古屋店 ▲ 5.3%
(6)日本橋三越本店 ▲ 3.7%
(7)西武池袋本店 ▲ 2.7%
(8)大阪タカシマヤ ▲ 1.8%
(9)新宿タカシマヤ ▲ 1.0%
(10)阪急うめだ本店 ▲ 0.8%
(11)日本橋タカシマヤ ▲ 0.3%
(大丸心斎橋店は26.2%減だが、本館建て替え工事中のため対象から外した。▲はマイナス)
「爆買い」バブルが影響を及ぼす
銀座三越と松屋銀座は、2ケタの落ち込みだ。毎月2ケタの成長を続け、爆買いの恵みをフルに享受してきたが、一転して大幅に減速した。
大丸京都店、伊勢丹新宿店、松坂屋名古屋店なども、インバウンド需要の恩恵を受けていたが、大きく落ち込んだ。爆買いの渦から外れた感が強かった新宿タカシマヤや日本橋三越本店は、落ち込みが軽微だった。
個人輸入に高い税金、減速感強まる
日本百貨店協会の統計によると、異変が生じたのは4月からだ。4月の免税品売上高は前年同月比9.3%(179億円)減と、2013年1月以来39カ月ぶりにマイナスになった。5月は同16.6%(134億円)減、6月は20.4%(130億円)減と3カ月連続で前年割れし、減少率は月ごとに拡大した。6月は購買単価が30.2%減と大幅に下落した。
免税品を買う客数が減ったわけではない。5月の購入客数は同12.7%(23万人)増、6月も同14%(23万人)増となり、41カ月連続で増えている。つまり、客数は増えたのに売上高は減ったのだ。
原因は、購入するものが宝飾品などの高額品から、化粧品・医薬品に変わったことが大きい。客単価が落ち込み、売り上げが急減した。
「代購(代理購入)」と呼ばれるブローカーの数が減ったからだ。ブローカーは、爆買いした商品を中国のインターネット通販会社を通じて売りさばいてきた。