車の自動運転、夢物語の化けの皮剥がれる…死亡等の事故多発、ブレーキすら正常作動せず
このグーグルグラスに、胸をときめかした人も少なくないと思います。しかし、グーグルグラスは早くも人々の話題から消えました。というのも、昨年初めにグーグルグラスは販売中止に追い込まれたからです。
見る対象がお城や恐竜ならいいのですが、それが人の場合だと、見られている側は個人を特定されプライバシーが侵害されているのではないかという不安感を抱きます。グーグルグラスの内蔵カメラで、いつどのようなかたちで撮影されているかもわかりません。また、そもそもファッションとしても違和感がありました。結局は技術の理想が、人々の心理や感性を乗り越えられずに消えていったのです。
技術競争の果てに0円の価値でしかなくなった3Dテレビ機能
業界そのものが暴走してしまうこともあります。典型は3D液晶テレビです。映画館では普及しても、家庭でわざわざメガネをかけて見なければならない3Dは、最初から一過性のブームで終わることが予想されました。しかし、テレビ業界がこぞって参戦し、予想通りにあっという間にブームが終わり、今では3D機能がついていても付加価値にならない、つまり、まったくお金が取れない技術になってしまいました。3Dテレビに立ちはだかったのも人びとの感性であり、テレビはリビングではくつろいで見るものという生活文化でした。
3Dプリンタはなんでもできる?
3Dプリンタは、高性能な工業用のものは以前からありました。しかし、低価格プリンタが登場したことで身近な存在となり、関心を呼びました。ユーザがちょっとした部品やアクセサリ、また試作品をつくることができるので、モノづくりにユーザが参加する機会を生み出します。つまり「イノベーションの民主化」を促すものとしても注目されていましたが、いつの間にかメディアを通してあたかも3Dプリンタでなんでもつくれるような誤解が広がっていきます。
中国人経営者の宋文洲氏がツイッターで、「この頃の3次元プリント技術は凄いな。驚いた。いずれ鋳物、旋盤などの金属加工業は要らなくなる」とつぶやいていておられましたが、ありえない話です。
夢を膨らませるのはいいのですが、それは「やがてスマホで空を飛べる」と言っているようなもので、宋氏にはなんの他意もありませんが、脊髄反射で「それはない」と思わずそうリツイートしました。
「自動運転」が抱える落とし穴
期待が膨らみ誤解を生んでいるという点では、自動車の自動運転もそうかもしれません。自動運転は一過性のブームではなく、自動運転の実現にむけて自動車メーカーや部品メーカー、またグーグルやアップルなどのIT企業、人工知能のベンチャー企業が開発競争を行っている分野です。