リリース直後から社会現象を巻き起こしている「ポケモンGO」。レアキャラなどを求めて、ポケモントレーナーがあちこちに出没することが話題となっているが、こうしたポケモンGOブームに熱い視線を送っているのが、人口減少に悩む地方都市だ。
たとえば、鳥取県の平井伸治知事は名所の鳥取砂丘をPRするために、鳥取砂丘をスマホと砂にかけて「スナホ・ゲーム解放区」にすることを宣言。県外からの観光客を呼び込もうとPRに懸命になっている。
商店街単位でも同様の動きが見られる。大阪市旭区の千林商店街は、大阪でも指折りのアーケード街として知られる。しかし、近年はどこの都市でも抱える後継者難などから個人商店は減少。チェーン店ばかりが集まる。
千林商店街にはポケストップが11カ所あり、商店街を歩けば自然とモンスターを集めることができる。商店街はここに着目して、商店街の危機を打開するためにキャラクターを呼び寄せるアイテム「ルアーモジュール」を絶え間なく使い、モンスターの出現率をアップさせた。モンスター目当てで、多くの人が訪れるようにする取り組みで集客を図ろうと必死だ。
同様の試みは、あちこちの観光地で試行されている。昨今、日本の観光業界は外国人観光客にターゲットを絞って集客に力を入れてきたが、早くも爆買いブームは去った。また、外国人観光客を相手にしたくても、外国語が理解できない商店主は多い。高齢の商店主にいたっては、いまだ外国人アレルギーが強く、経済効果があったとしても外国人観光客が増えることにいい顔をしない。
そうしたことから、地方都市では行政も観光協会も外国人観光客より日本人観光客を呼び込む戦略を練っていた。ポケモンGOブームは、地方に日本人観光客を呼び込む千載一遇のチャンスでもあるが、集客効果はあるものの、そう簡単に地方都市は活性化するのだろうか。ある地方都市の観光協会幹部はこう話す。
「ポケモンGOは観光客を呼び寄せる仕掛けにはなっていると思います。ただ、それが経済効果になるかといえば、そこは疑問です。ポケモントレーナーの多くは、スマホ一台で来ますし、現地で遊んでいくわけでもないので観光客と呼んでいいかも疑問です。トレーナーは現地に足を運んでも、目的はポケモンGOなのですから日帰り客も多い。そうなると、宿泊が伴わないので地元への経済効果は薄い。地元の飲食店やお土産店で消費してくれるかといえば、これも怪しい。そもそも、地方の商店は東京のコンビニエンスストアほど品揃えもよくありませんから、東京から来るトレーナーたちはコンビニでおにぎりやパンを買い込んでから来る人も多いです」