旅行代理店も恩恵なし
目的がポケモンGOだけでは、観光客は訪れても通り過ぎるだけで滞在してもらえない。滞在してもらえなければ、地元への経済効果は少ない。とはいえ、東京や大阪といった大都市から地方都市に足を運ぶトレーナーが増えるとなれば、そこまでの交通アクセスや宿泊を手配する旅行代理店の売上は伸びる。地元への経済効果がなくても、ポケモンGOブームを旅行代理店は歓迎しているのではないか。
「バスや飛行機、鉄道のチケットは個人がインターネットで手配するのが当たり前になってきているので、ポケモンGOが大ヒットしたからといって、旅行代理店が活況になることはありませんね。そもそも、ポケモンGOでわざわざ地方に足を運ぼうなどという人はいるのでしょうか。東京の渋谷や秋葉原、新宿などには無数のポケストップがあります。地方に行くよりも、東京のほうがポケモンGOには向いています。逆に地方から渋谷や秋葉原に行く人たちは、増えていると思いますが、こうした人たちも旅行代理店など使いませんし、ホテルに宿泊するのではなく、寝泊まりはネットカフェで十分という人たちが多い。とても、代理店が取り込める層ではありません」(大手旅行代理店関係者)
旅行代理店にとって、ポケモンGOはチャンス到来ではないようだ。
禁止の場所相次ぐ
さらに自治体関係者・観光関係者はポケモンGOへの期待よりも、ポケモントレーナーが引き起こす混乱を心配している。そのため、地方の観光地ではポケモンGOで活性化を狙うよりも、忌避する動きのほうが強い。
すでに報道などで話題になっているが、島根県の出雲大社ではポケモンGOを禁止している。出雲大社といった全国でも指折りの寺社が禁止に動けば、それは全国に波及し、ほかの寺社も禁止することが予想される。
禁止は寺社だけにとどまらない。神奈川県の有名観光地・江の島でもポケモンGOの禁止令が出されている。また、先の大震災で崩落した熊本城でも崩落の危険性があるために立ち入り禁止区域を設けているが、そこにもポケモントレーナーが出現。そのため行政が注意喚起を行い、規制に乗り出している。先の観光協会幹部は、そうした強まる規制に対してこう漏らす。