米メディアによると、アローラ氏が14年9月にソフトバンクに入社した後も、ハイテク投資で競合する米投資ファンド、シルバーレイクの上級顧問を兼ねていたという。ソフトバンクが大株主である中国のアリババグループにシルバーレイクも投資しており、アリババの業績が悪化していた15年1月末に、シルバーレイクがアリババ株式を売り抜けたことに疑念を呈す向きも多い。
ソフトバンク内部からの告発
7月5日付朝日新聞記事は、投資家グループが米法律事務所を通じてソフトバンクに提出した調査要求書を入手したと報じた。
「代理人の米国弁護士のアイラ・リー・ソーキン氏は、書簡を送った匿名株主が『米国以外の数人だ』と説明。ソフトバンク関係者によるものか聞くと、『答えられない』とした上で、『社内の人が経営層に対して懸念を示すことはある』と述べた」
アローラ氏の追い落としを狙った反アローラ派による内部告発だったと朝日新聞は臭わせている。調査報告書には、こう記載されているという。
「インドのネット通販スナップディールへの投資を巡っては、14年にソフトバンクが出資した時期にアローラ氏個人が持っていたと指摘。翌年に追加出資した際に企業価値が大幅に向上したとして、追加出資には『アローラ氏自身の持ち分の価値を上昇させる狙いがあったのではないか』と疑念を呈した」(前出、朝日新聞記事)
もし、そうだとすれば、これは利益相反行為ではないのか。SECの調査の進展次第では、ソフトバンクと孫氏が大きなダメージを受けることもあり得る。
孫氏は、アームHDを3兆3000億円で買収することについては、饒舌に語っている。しかし、アローラ問題の核心については口をつぐんだままだ。
疑惑の数々について、孫氏は説明責任を果たさなければならないだろう。投資家が納得する、説得力のある説明が求められる。
(文=編集部)