そこで、8月5日に新担当者と会って話をすることにした。ここで私は、朝日記者の非常識ぶりに大いに驚かされることになった。
お会いした朝日の方は、歳は私と同年配か上で、相応のキャリアを積んできた人物に見える。しかし、話した内容は世間の常識(少なくとも私の常識)からは考えられないことであった。
まず私は、「なぜ突然、粥川氏をライターに起用したのか」「RONZA編集部が粥川氏に湯之上批判の記事を書かせたのか」ということを問いただした。すると、「貴方(湯之上)が、朝日がSTAP記事を取り上げないと問題を提起したから、粥川氏に頼んで記事を書いてもらった」と言う。私は「朝日が仕組んだ姑息なこと」と思っていたのだが、当の朝日は姑息なことを行ったという認識は欠片もなく、「報道メディアとして当たり前のことをした」と言っているのである。しかも言外に、「貴方が求めたことを当方がやって差し上げたのだ、一体何が悪いのか」という態度すら匂わせていた。
ここで、読者諸賢に問いたい。私の認識が間違っているのか。それとも朝日新聞の常識が世間とは大きく乖離しているのか。
まるでかみ合わない会話
新担当者との会話は、それ以外もことごとく噛み合わなかった。私が「RONZA編集部が私にしてくれたことに、私は嫌悪感を持っている」といっても、「貴方が嫌悪感を持つ理由がわからない」という。また、「編集部のやり方に不信感を持っているので、今後、記事を書くかどうかは今、決められない」というと、「なぜ編集部に不信感を持つのか」というのである。
このようなやり取りを1時間近くしていると、次第に、私が悪いことをしているのだろうかと思えてきたほどだった。しかし途中で、朝日新聞に入社して20~30年もその空気に染まってしまうと、このような非常識な人間ができ上がるのだろうと思い直した。こんな会話を続けても埒が明かないと思い、私は「RONZA編集部が、今後も私に原稿を依頼する気があるのかどうかを明らかにしていただきたい」「もし依頼する気があるのなら、その依頼を確認した上で、今後も記事を書くかどうかを考える」と要求を突き付けた。
すると新担当者は、編集部に持ち帰って相談すると言った。こんな簡単で基本的なこともその場で答えられないとは、まるで子供の使いである。私は呆れかえるしかなかった。
RONZAの専属ライターをクビになる
新担当者との噛み合わないうち合わせから10日たった8月16日、やっとメールが来た。極めて単純で基本的なことの返答に10日もかかるとは、RONZA編集部は組織として崩壊しているのではないかと思う。