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赤福、あんこの“指の形”くぼみに拒否反応で食べられない…論争勃発 素手or機械?

文=編集部
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赤福公式サイトより

 三重県伊勢市の名物和菓子「赤福餅」の形状について、インターネット上で激しい賛否両論が繰り広げられている。赤福は餅をこしあんで包んだ和菓子だが、その表面には五十鈴川の波をイメージした3本の筋がついている。この筋をめぐって、あるTwitterユーザーが投稿した内容が物議を醸したようだ。

「今日、とある現場で赤福餅を差し入れたら『あんこの表面のくぼみ、人の指の形なんですよね…気持ち悪くて食べられないんです…。』と言われて一人で全部食べた」(原文ママ、以下同)

 この投稿に対して、Twitter上では以下のように賛成、反対の意見が噴出している。

「食べれない人の気持ち分かる。赤福が世間を賑わかす少し前に、TVで赤福の製造工程を放映してたのだけど、その作業部屋が無くなるのが理由だったかな?小さな部屋で、おばちゃん達が指で、赤福の波の形にしてるのを見て無理だと思った。今は薄い手袋をしてるようだけど、私が見た時は素手のままだった筈」

「素手で握ったおにぎり、ぬか床を混ぜる手…人間そのものがどんな存在であるか知らない知識が人間の感性をドンドン狂わせていく。その結果がアレルギーやアトピーと言った過剰反応の増加である面は否定できないと思います。勿論、不衛生を肯定するものではありませんので念の為」

繰り返される「おにぎり論争」

 Twitter上でも指摘されているが、「他人が素手でつくった食べ物を食べることができるのか」という議論は10年ほど前からたびたび繰り返されてきた。特に、有名なのは「他人が握ったおにぎり」についてだ。Jタウンネット研究所は2015年、「他人が握ったおにぎり、食べられる?」というテーマで、都道府県別にアンケート調査(総投票数858票、2015年4月8日~7月1日)を実施した。同調査によると、「食べられる」は448票で52.2%、「食べられない」は410票で47.8%となり、完全に賛否が二分されていることを示した。

 地方別では、東北や日本海側の米どころでは「食べられない」率が低く、神奈川、埼玉、大阪、奈良、静岡、高知、熊本などで「食べられない」率が高い結果となった。

新型コロナ感染症蔓延に伴う衛生観念の高まりも影響?

 今回の赤福の件でも同様だが、「赤の他人が素手でつくったもの」を食べられない理由としては「不潔な印象がある」という意見が目立つようだ。しかし親がつくったものが、食品会社で製造したものより衛生的だという科学的な根拠はないのではないか。

 ちなみに赤福の公式ホームページの「よくある質問」には次のように記されている。

「Q.赤福は全て手入れでつくっているのですか?

A.喫茶店舗で提供しております赤福餅は、『餅入れ』と呼ばれる職人が全て手入れでおつくりしたものでございます。お土産用商品は、本社工場にて機械で形づくっておりますが、甑、いすず野あそび餅につきましては、少量生産のため手入れでおつくりしております。

 赤福餅の製造工程は、ホームページ内『赤福餅ができるまで』にてご覧いただけます」

 伝統的な職人の手によるものと、工場での機械生産があるようだ。

 あるフードジャーナリストは次のように同問題の背景を推測する。

「赤福に対するマイナスなイメージは2007年10月に発覚した、『赤福の消費期限偽装事件』に端を発しているのではないかと思います。赤福は当時、ちょうど創業300年の節目だったのですが、冷凍保存していた製品を、解凍日を製造年月日として出荷していたことや、売れ残り商品の再利用などが次々に発覚し、同社は三重県から営業停止処分を受けました。

 当時は食品関連の偽装事件が相次いで発覚していたこともあり、おそらく事件の詳細は覚えていなくても、『赤福』の名前だけ記憶に残っている人はまだ多いのではないでしょうか。加えて今は、新型コロナウイルス感染症の拡大も続いていますし、国民全体がとてもセンシティブになっていることも大きいのではないでしょうか。『スーパーの店員が手袋をしているかどうか』などが議論になるくらいです。

 ただ一方で鮨や懐石料理、赤福のような伝統和菓子などは、職人の指先の繊細な感覚が味や美しい盛り付けを左右します。職人は基本的に人一倍、衛生に気を使っています。機械生産でもメンテナンス担当者が、こまめな消毒をしていなければ不衛生です。

 要は、素手か機械かという、製造方法の問題ではなく、製造者が責任をもって仕事をしているかどうかの問題だと思います。コロナを境に過剰な衛生観念が日本伝統の食文化に悪い影響を与えないといいのですが」

 ただでさえ飲食業界には逆風の時代だ。こうしたネット上の議論も新型コロナの感染症拡大に伴う新たな悪影響のひとつなのかもしれない。

(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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