これに対して、監査請求した阿部さんらは、
「なぜ長期にわたり民間委託が必要なのか」
「自治体の管理から民間に移したときに、ごみが減ったときは契約の見直しがあるのか」
「安全面や金額面で問題が出ることがないのか」
など一切の問題を伏せたまま契約が結ばれようとしていることが、疑問だという。
3市のごみ処理の流れとしては、市民がごみカレンダーに基づき「可燃ごみ」「不燃ごみ」「粗大ごみ」「有害ごみ」などに分別して出したごみを、各市ごとに収集し、柳泉園組合に運び、焼却した後の焼却灰や細かく砕いた不燃ごみを、最終処分場等に運ぶ。
最終処分場は、三多摩の25市1町でつくる「三多摩地域廃棄物広域処分組合」という。一方「容器包装プラスティック」は、資源として別の処理ルートに運ばれる。こうした「組合」は、本来市町村で担う行政サービスの一部分を共同で担うという意味で「一部事務組合」【註2】といわれ、議会や監査委員会などを持っている【註3】。
しかし柳泉園組合のようなごみの処理のためにつくられた一部事務組合は、構成自治体の負担金によってほとんど財政上は賄う。したがって、3市の市民の税金で運営されているといってよい。普段は3市が毎年の負担金を予算化し、その予算の範囲で柳泉園組合は事業活動を行っている。その意味では、構成自治体である3市は、一部事務組合のオーナー自治体といってよい。
ところが今回の契約は、15年間にわたり事業のほとんどすべてを委託するという大転換である。先の森議員は、こう指摘する。
「オーナーである構成自治体に、契約の是非を問い、了解も取ることなく契約を進めようとしているが、柳泉園組合が契約を結べば、構成自治体が毎年約10億円の負担金を支払うことになる。構成自治体に相談なく行う契約(=債務負担行為)は、自治法の違反の疑いがある」
請求人の市民が指摘するように、お金を出す自治体や市民になぜ相談し、了解をとることをしないのか。まったく不可解な対応である。
減る一方のごみを、今の処理量を基準になぜ長期契約?
記者会見に参加した市民が特に強調したのは、構成3市では日常的にごみの減量化に取り組み、今後もごみを減らす努力を続けている。ところが長期包括契約は、これまでのごみの量を前提として契約を締結しているという点である。組合側は15年間の長期で契約を結ぶ結果、計43億円安くなるとしているが、市民らは、実際はごみの減量化によって処理するごみ量が減り、もっと安くなる可能性があると主張する。