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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

大塚家具、広大なフロアに誰もおらず…久美子社長、放逐した父会長時代より業績悪化

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント
大塚家具、広大なフロアに誰もおらず…久美子社長、放逐した父会長時代より業績悪化の画像1大塚家具有明本社(「Wikipedia」より/Ryoma35988)

 大塚家具の大塚久美子社長が11月24日に、リユース事業の進捗について発表会見を行った。同社では9月に家具の買取りと下取りを行うリユース事業の開始を発表していた。大塚社長によれば「一時期はコールセンターがパンク状態になり、受付の電話を当初の倍以上増やした。あまりの反響に驚いた」という。

「これまでに約1万6500件の査定依頼があり、そのうち1万1000点以上を引き取った。また、家具の引き取りを希望した客のうち、4割が大塚家具での家具の買い替えを希望し、買い替え促進効果も出ている」(大塚社長)

 しかし、どうもこの発表と計算が合わない情報があるのだ。

誰もいなかったリユース・アウトレット店

大塚家具、広大なフロアに誰もおらず…久美子社長、放逐した父会長時代より業績悪化の画像2『間違いだらけのビジネス戦略』(クロスメディアパブリッシング/山田修)

 この発表直前に私は、大塚家具が「リユース・アウトレット専門店」としている東西2つの店舗の検分に出かけていた。

「アウトレット&リユース大阪南港」店に入ったのは、11月18日(金)のことだった。ここは、リユース事業のために同社が10月に開店したばかりの専門店舗である。南港ポートタウン線というモノレールのようなニュートラムという電車に乗って行き、トレードセンター前駅に直結している商業施設、アジア太平洋トレードセンター内にある。新大阪駅からたどり着くのに小1時間かかった。

 7階と8階に大塚家具がテナントとして入っていて、リユース大阪は、7階の半分を占めている。その他の1.5フロア分は同社の通常店舗だ。

 私が到着したのは午後1時過ぎだった。リユース大阪部分の広さは5000平方メートルほどだと後になって知った。というのは、新装まもないこの店舗の入り口に立って店内を見ると、広大な店内には誰もいなかったのだ。そして店の奥まで進んだが、客も店員もひとりもいなかった。その間、10分ほどである。「大塚社長が打破しようとしている、父・大塚勝久前会長時代に取っていた入店時の会員登録制度などの過剰接客が、徹底的に否定されている店なのかな」などと思った。

 顧客会員でもあった私は、探している家具があったため、書類を持った店員があわただしく通り過ぎようとしているのを引き止めて、質問させてもらった。

 さらに冒頭の発表前日、11月23日(水)には、「アウトレット&リユース横浜」店を訪れた。ここは大塚家具の倉庫だったところで、6階建て建物の3階部分を店舗としている。広さは4000平方メートル強だという。横浜駅より鶴見駅のほうが近い。大阪も鶴見もアウトレット拠点なので、公共交通からのアクセスはあまりいいとは言えない。その代わり、展示面積は十分に取れている。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
有限会社MBA経営 公式サイト
山田修の戦略ブログ

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