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山田修「間違いだらけのビジネス戦略」

大塚家具、広大なフロアに誰もおらず…久美子社長、放逐した父会長時代より業績悪化

文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント

 いろいろ施策を打ってはいるが、同社の財務指標を見ると、足元では苦戦が続いている。同社が11月4日に発表した今年1-9月の業績は、売上高は前年同期比18%減の343億円、営業損益は37億円の赤字(前年同期は1億9000万円の赤字)、最終損失が40億円の赤字(同7100万円の赤字)となった。

 大塚社長は、昨年春の株主総会で実父・大塚勝久会長(当時)を放逐して経営権を完全に握った。それ以来、業績をさらに低迷させてしまっている。経営戦略の転換ということで「生みの苦しみ」が続いているとみることもできるし、続き過ぎているとみることもできる。

孤高のトップ

 大塚社長の発表を見ていて、私はなぜか韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領を想起してしまった。2人とも著名な女性リーダーである。公務に専念していて、信念がとても強く、社会や家族から非難され孤立しても職務を投げ出すことはない。強い意志を持つ、いわば孤高のトップである。

 しかし2人の大きな違いというと、朴大統領はいまや支持率4%以下という国民から絶対拒否の状態に陥っているのに対し、大塚社長には支持してくれる層が明らかにあるということだ。それは、大塚家具の株主たちだ。現在1250円前後の同社株を年末まで保持していれば、株主配当が一株に対して80円付く。それは昨年の株主総会で、経営権を保持しようとして社長が公約したことのひとつだ。

 16年12月期は売上高483億2,700円(前期比100億円減)、最終赤字43億5,800万円の大幅減益が予想されている。しかし同社の場合、どんなに赤字が見込まれていても、実施されるその株式配当は率として現株価に対して6%以上となる。いまどきこんな金融商品は、ほかにはあまり見当たらない。

 株主としては、大塚社長に拍手を送り続ければいいということだろうか。
(文=山田修/ビジネス評論家、経営コンサルタント)

※ 本連載記事が『間違いだらけのビジネス戦略』(クロスメディアパブリッシング/山田修)として発売中です。

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

山田修/経営コンサルタント、MBA経営代表取締役

経営コンサルタント、MBA経営代表取締役。20年以上にわたり外資4社及び日系2社で社長を歴任。業態・規模にかかわらず、不調業績をすべて回復させ「企業再生経営者」と評される。実践的な経営戦略の立案指導が専門。「戦略カードとシナリオ・ライティング」で各自が戦略を創る「経営者ブートキャンプ第12期」が10月より開講。1949年生まれ。学習院大学修士。米国サンダーバードMBA、元同校准教授・日本同窓会長。法政大学博士課程(経営学)。国際経営戦略研究学会員。著書に 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』、『本当に使える経営戦略・使えない経営戦略』(共にぱる出版)、『あなたの会社は部長がつぶす!』(フォレスト出版)、『MBA社長の実践 社会人勉強心得帖』(プレジデント社)、『MBA社長の「ロジカル・マネジメント」-私の方法』(講談社)ほか多数。
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