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「北海道の球団」の軸足は崩せない
最後に今後の見通しを記しておこう。04年に球団名を「北海道」日本ハムファイターズに変更した際、「札幌」にしなかったのも、広く道民に愛される球団をめざしたからだ。ちなみに、球団のマスコット「B・B」の背番号212は、移転当時の北海道の市町村の数にちなんでいる。その意味で、道外への移転は現実的ではない。ただし、それも口にした時期があったほど、球団関係者は札幌ドームの使い勝手の悪さを嘆いていた。
ファイターズは、早くから選手の年俸査定に大リーグ方式を取り入れるなど、最先端の球団経営に熱心だ。野球観戦以外も楽しめる本場型のスタジアム「ボールパーク」を実現したいと考えている関係者もいる。総合食品メーカーである日ハムのノウハウを駆使して、球場内で多彩な飲食店を運営することも可能だろう。
新球場の候補地は、道内の自治体からも候補先を募っている。球団の公式発表翌日に、札幌市に隣接する北広島市の上野正三市長が島田利正球団代表に会い、「ボールパーク構想」の提案書を手渡すなど、新球場建設計画が水面下で進んでいたことを裏付ける。
一方で、新球場の建設費用は約400億円ともいわれる。これだけの金額を売上高100億円規模の1球団が負担することは現実的ではなく、売上高1兆円企業の日ハムにとっても巨額投資となる。建設後の運営、地域との共生のためにも、札幌市を含めた関係者を巻き込んだ活動が欠かせない。繰り返すが、それも含めて「協働」なのだ。
(文=高井尚之/経済ジャーナリスト・経営コンサルタント)
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