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広島カープ、空前の売上・利益達成…黒字優先で選手放出&低迷、マエケン移籍金を巧妙活用

文=編集部
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広島カープ、空前の売上・利益達成…黒字優先で選手放出&低迷、マエケン移籍金を巧妙活用の画像1MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島(「Wikipedia」より/HKT3012)

 広島東洋カープは1991年以来、25年ぶりにセ・リーグ優勝を果たした。今シーズンは“神ってる”勝利を積み重ね、全国各地で熱狂的な赤ヘル旋風を起こした。関東圏で開催されるビジターのゲームでも、スタンドの過半が赤色で埋め尽くされるほどファンが急増した。

 プロ野球球団の収入は、チケット売り上げ、放映権、スポンサー・広告収入、飲食やグッズの売り上げ、ファンクラブ会費などが主だ。一方、費用は選手年俸と関連費用(移動費・宿泊費など)、事業運営費、販売管理費、人件費、球場使用料など興行のための経費など。なかでも、選手の年俸と関連費用が全体の4~5割を占め、この支出を抑えることが黒字経営の要諦だ。

 多くのプロ野球の球団は親会社を持つ。親会社は広告宣伝費の名目で球団の経営を支援する。球団は親会社から送金された金を売り上げに計上して、赤字の穴埋めに使ってきた。

 カープは全12球団のなかで唯一、親会社を持たず、独立採算制をとる球団だ。そのため、黒字経営を続けるには選手の年俸を抑えるしかなく、選手補充もままならならず、長期にわたって優勝から遠ざかってきた。

 そんななかで今回、四半世紀ぶりに優勝を果たしたのは、独自の経営で確固たる財務基盤を構築したからにほかならない。75年以来、41年連続の最終黒字を維持しているカープの経営に注目してみよう。

松田一族による同族経営

 カープを運営する株式会社広島東洋カープは、東洋工業(現・マツダ)の創業家一族、松田家の同族経営である。56年、市民球団を謳い地元企業の出資で設立したが、親会社が存在しないことから慢性的な資金不足で負債が膨らみ経営が混乱した。当時、東洋工業社長の松田恒次氏が球団の株式を集約、68年に東洋工業と松田家が株主として名を連ね、球団名に「東洋」の2文字が入った。

 77年、東洋工業はオイルショックで経営危機に陥った。当時の松田耕平社長(恒次氏の息子)は経営責任をとって辞任。東洋工業は米フォードの傘下に入った。耕平氏は東洋工業の株式は手放したが、球団の経営権は死守した。その後、同社は84年にマツダへ社名変更した。

 株式会社広島東洋カープの現在の資本金は3億2400万円。主要株主は松田家が42.7%、マツダが32.7%、グッズ販売会社のカルピオが18.5%。松田家は、カルピオ分と合わせて61.2%の株式を保有している。マツダは、名義を残してはいるが、球団経営には関与していない。

 現球団オーナーは松田元氏(耕平氏の息子)。同氏は慶應義塾大学を卒業後、77年に東洋工業に入社したが、82年に退社。株式会社広島東洋カープの取締役に転じ、85年にオーナー代行に就任。耕平氏の死去に伴い、02年からオーナーを務めている。

BusinessJournal編集部

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