2017年も押し迫った12月19日に「ファイターズ新球場建設へ」というニュースがかけめぐった。今年のプロ野球日本一に輝いた北海道日本ハムファイターズ(以下、球団)が、親会社の日本ハム(以下、日ハム)と協働で、現在の本拠地である札幌ドームに代わる新球場の検討を始めると発表したのだ。
春に新球場建設が報じられた際には、球団は否定していたが、どのような変化があったのだろうか。実は、球団は10年近く前から、札幌市が所有して市の第三セクターが運営する札幌ドームに不満を持ち、近年は新球場について検討していた。今回の決定は、ようやく第一歩を踏み出したにすぎない。
そこで今回、新球場建設決定に至った経緯や今後の見通しを分析してみたい。
選手総年俸に匹敵する球場関連費
16年のファイターズ主催試合の観客動員数は207万8981人(71試合、1試合平均2万9281人)と、04年の北海道移転後、初めて200万人を超えた。この間の13シーズンで4回のリーグ優勝(うち日本一2回)、Aクラス10回とチーム成績は素晴らしい。
だが球団経営では、非常に難しい局面にある。収入面で「大幅な収入増が見込めない」、支出面で「球場使用関連費が高すぎる」という2つの大きな課題を抱えているからだ。
そもそもプロ野球球団の総収入は、平均で100億円といわれており、ファイターズは120億円(14年12月期)となっている。その収入内訳は、大きく次の5つに分けられる。
(1)主催試合の入場料
(2)公式グッズの販売収入
(3)球場内の広告料、売店や飲食店売上の一部
(4)スポンサーからの広告料
(5)試合の放映権料
特に球団が主導権を握れる(1)と(3)を伸ばしたい。一方、主な支出の費目は、つぎのようになる。
(6)選手の年俸
(7)フロント職員の人件費
(8)球場使用料・関連費用
(9)ビジター試合やキャンプの遠征費用
今回の新球場問題で浮き彫りとなったのは、(3)と(8)だ。球場を所有している球団にとっては収入源となる球場内の広告料は、ファイターズの場合はほとんど入らず、逆に球団の広告料を球場に支払う立場だ。また、売店など付帯施設からの収入も球団には入らず、これも球場側の収入となる。
一方、(8)の球場使用料は約9億円、その関連費用が約17億5000万円、合計約26億5000万円の支出といわれる。これは16年の選手総年俸(約27億円)に匹敵する数字だ。