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安倍首相の地元、耕作放棄地率が突出…「日本の田園守る」発言のデタラメ、農業破壊推進

文=小倉正行/フリーライター
安倍首相の地元、耕作放棄地率が突出…「日本の田園守る」発言のデタラメ、農業破壊推進の画像1「Thinkstock」より

 2016年12月15日、プーチン露大統領を地元・山口県に招いて会談を行った安倍晋三首相。郷土をプーチン大統領に紹介して北方領土交渉を進展させたいという思惑も通じず、二階俊博自民党幹事長も「国民の皆さんの大半はがっかりしている」と言わざるを得ない結末となった。

 安倍首相はTPP(環太平洋経済連携協定)関連法案の国会審議に際し、TPPによって国内農業に深刻な影響を与えるとの指摘に対して、「日本の美しい田園風景は守り抜く」とたびたび答弁していたことは記憶に新しい。

 ところが、その安倍首相の地元・山口県の耕作放棄地面積率が、全国平均の2倍以上になっていることが農林水産省の統計で明らかになった。05年は全国平均の耕作放棄地面積率が9.5%であるのに対して山口県は19.0%、10年は全国平均9.8%に対して同20.0%、15年は全国平均11%に対して同22.7%。実に山口県は耕地の2割以上が耕作放棄地になっているのである。山口県は耕地の8割が水田であり、「美しい田園風景」どころか「惨憺たる田園風景」なのである。

 さらに山口県の耕作放棄地面積率は、この10年間で3.7%も増加し、全国平均の増加率が1.5%に対して、これも2倍の増加となっている。
 
 また、水田の作付け率は全国平均が64%であるのに対して、山口県は55%。結局、水田の45%が稲を作付けできない休耕田か転作田となっているのである。安倍首相が果たしてこのような地元の実態を把握しているかは定かではないが、把握していないとすれば、「日本の美しい田園風景は守り抜く」という発言の信憑性が疑われる。

農家経営に打撃

 日本農業は耕作者の高齢化と後継者不足が進んでおり、耕作放棄進展の条件は整っている。さらにここ数年の米価の暴落で、コメ生産の採算ラインを下回る販売価格になっているため、経営難による離農は拍車がかかっており、耕作放棄地は加速度的に増えている。さらにTPPによる輸入米の急増がさらなる米価の下落を招くことは、多くの農業関係者が想定しており、展望が持てない中で、経営が打撃を受ける前に離農を選択する農業者も存在している。
 
 このような現状において、離農や耕作放棄地の増加を食い止めるには、刺激の強い農業政策が実施されなければならない。EU(欧州連合)などでは、所得補償を手厚く実施することによって、たとえばスイスの山岳農業も大規模な離農を招くことなく継続している。

 しかし、安倍政権下では、旧民主党政権時代の所得補償政策を廃止し、農家経営に打撃を与える始末である。安倍首相の「日本の美しい田園風景は守り抜く」という発言は、首相自らの地元の実態から見ても実践に裏付けられていない発言であるばかりか、安倍政権の農業政策からみても、なんの見通しもない発言なのである。
(文=小倉正行/フリーライター)

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