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特に、中核のサムスン電子が、どのように今後の成長戦略を進めるか、その舵取り役が不在であることは憂慮すべきだ。主力商品であるスマートフォン、ギャラクシーノート7の過熱・発火問題に対して、専門家の間では過度な薄さを追求したため、基本的な設計ミスが生じたとの見方が多い。サムスンはものづくりの原点に立ち返り、製品の安全性など、基本的な事項を見直さなければならない。それはガバナンスなどを議論する以前の問題だ。
1月23日、サムスン電子は、発火は電池の欠陥が原因であり、スマートフォン本体に問題はないことを強調した。そして、安全性強化への取り組みを進めるとの声明も発表したばかりだ。今後、サムスンは経営者が不在のなかで技術力を引き上げ、品質の向上を図らなければならない。そのための意思決定を誰が行い、責任をどう取るか、経営の先行き不透明感は高まっている。
過度な財閥依存の韓国経済の不安
事実上の経営トップの逮捕を受けて、サムスン財閥の経営リスクが高まっていることは、韓国経済の先行き不透明感につながる問題だ。なぜなら、韓国経済は実質的に財閥企業に支配されてきたからだ。象徴的な数字を挙げると、韓国には50万社程度の企業があると考えられているが、全体の純利益の4割程度が10大財閥のものといわれている。
歴史を振り返っても、韓国経済の成長は財閥企業の業績拡大に依存してきた。パク大統領の父親、故パク・チョンヒ(朴正煕)元大統領は“開発独裁”と呼ばれる経済政策を進めるなかで、財閥企業を重用した。政府は財閥企業に独占取引権を付与するなど特別扱いし、積極的に経営を支えたのである。これが“漢江の奇跡”と呼ばれる高成長につながった。朝鮮戦争後の荒廃のなか、一定の経営組織を備えた財閥企業を重用して外需を取り込み、輸出主導型の経済を整備することには、それなりの意味はあったのだろう。
しかし、過度な財閥重用は、財閥企業と歴代政権の癒着につながった。その結果、財閥企業の業績が韓国経済全体の成長を左右するという不安定な状況が続いてきた。財閥企業の経営を支えるために、韓国は自国通貨安を重視し、為替介入を行ってきた。これは、韓国経済が財閥企業の業績と表裏一体の関係にあることを示す良い例だ。
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