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ファミレス、24時間営業終焉で定休日も…元祖・ロイホの凋落、もはや主力はホテル事業

文=編集部
ファミレス、24時間営業終焉で定休日も…元祖・ロイホの凋落、もはや主力はホテル事業の画像1ロイヤルホストの店舗(「Wikipedia」より/Kici)「

 年中無休や24時間営業で業績を伸ばしてきた外食産業が、営業時間の短縮にかじを切った。日本マクドナルドは24時間営業店舗を4割以上削減した。吉野家も全店舗の約5割にあたる店舗で24時間営業をやめている。ファミリーレストラン最大手のすかいらーくは24時間営業を大幅縮小し、原則として深夜2時閉店とした。

 ロイヤルホールディングス(HD)はファミリーレストランロイヤルホスト」の24時間営業を今年1月までに全廃した。24時間営業の全面廃止は、業界では同社が初めてだ。店舗当たりの平均営業時間も1.3時間短い15.5時間にする。この措置により、2%の減収になると試算している。

 黒須康宏社長は「人口減少などで労働力の確保は年々厳しくなっている。減収は覚悟せざるを得ない」と語っている。定休日についても「考えるべき時代が来ている」として、導入を検討していく方針を明らかにした。

 外食業界では労働環境が劣悪な企業には「ブラック」の厳しい評価が下される時代となった。一度ブラック企業とのレッテルを貼られれば、マイナスの影響は計り知れない。働き方改革の比重は確実に高まっている。人手の確保が難しく、人件費が上昇していることも各社の背中を押す背景にある。

ホテル事業が業績を牽引

 ロイヤルHDの2016年12月期の連結決算は、5期連続の増収、8期連続の経常増益となった。売上高は前期比2.1%増の1330億円、営業利益は6.6%増の52億円、経常利益は3.7%増の52億円、純利益は12.8%減の23億円だった。

「リッチモンド」ブランドのホテルが好調で、ロイヤルホストなど外食の苦戦を補った。固定資産の売却損や減損損失など総額9億6500万円の特別損失を計上したため、最終減益となった。

 17年12月期の売上高は0.4%増の1335億円、経常利益は7.6%増の56億円と6期連続の増収、9期連続の経常増益を見込み、年間配当は16年比2円増の22円を予定している。

 リッチモンド東京芝(旧・ホテルコンソレイユ芝・東京)など、リッチモンドブランドのホテルを全国で展開しており、民間の宿泊顧客満足度調査で1位に選ばれたことで人気が高まり、利用者が増えた。一部ホテルでハラル(イスラム法で許された料理)対応メニューや多言語による接遇をするなど、訪日客向けのサービスを強化したことも利用者増につながった。

 16年12月期末の直営ホテル36 (7384室)の稼働率は89.0%。売上高は前期比14.1%増の253億円、経常利益は13.0%増の38億円に上り、全社の経常利益(52億円)の73%を叩き出した。

 17年12月期のホテル部門の売上高は266億円、経常利益は41億円と増収増益を予想している。ロイヤルHDといえばファミレスのイメージが強いが、いまやホテル部門が稼ぎ頭というのが実態だ。

ファミレスの元祖「ロイヤルホスト」は苦戦

 一方、主力の外食事業は大苦戦している。16年12月期の売上高は前期比1.0%減の622億円、経常利益は5.3%減の29億円と減収減益だった。

 足を引っ張っているのがファミレスの元祖であるロイヤルホスト事業(カウボーイ家族ほかも含む)。売上高は2.7%減の379億円、経常利益は8.6%減の17億円にとどまった。ロイヤルホストの直営店は221店で、既存店売上高は1.4%減った。

 これまで好調を続けてきた、手ごろな値段で揚げたて天丼を味わえる「てんや」も伸び悩んだ。直営店は154店で、既存店売上高は0.2%増と横這い。それでも、てんや事業の売上高は5.4%増の136億円、経常利益は20.2%増の6億円と増収増益だった。そのため、外食事業ではロイヤルホストからてんやに軸足を移した。

 16年6月4日付朝日新聞は、こう報じている。

「外食大手のロイヤルホールディングスが、国内消費の低迷を受け、低価格路線を強化する。グループでは客単価が安い天丼チェーン『てんや』の国内店舗数を、2020年末までに現在の1.7倍、300店に増やす方針だ。ファミリーレストランは現状を維持する」

 同記事によれば、ロイヤルホストの客単価は約1250円、てんやの客単価は約620円で半分程度となっている。ロイヤルホストの構造改革に手をつけず、てんやの店舗数を増やせば、外食事業全体の利益率は低下する。

 低価格路線にかじを切ったロイヤルHDの収益力の強化策が、ロイヤルホストの24時間営業の中止ということになる。減収にはなるが、人件費の削減が見込めることから利益率は改善するとみられる。

 全店で24時間営業を中止したロイヤルホストの2月の既存店売上高は3.8%減、来客数は4.4%減となった。上半期(17年1~6月)の減収幅が、想定している2%減程度に収まるかどうかは不透明だ。さらに、営業時間が短くなっても来客数がプラスに転じるかどうかが24時間営業中止の成否を決める。

 ロイヤルHDが展開するステーキ・ハンバーグ専門店、カウボーイ家族も4月1日から、ほぼ全店で閉店時間を30分~1時間前倒しする。約40店のうち、沖縄の商業施設内の店や熊本地震の被災地を除き閉店を早めることにした。
(文=編集部)

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