ほぼ半額…8割引や変わり種のレア味も
店舗は10坪程度と商品同様にコンパクトなつくり。うっかりすると見逃してしまいそうになるが、ロードサイドに立つ大きなチロルチョコ型の看板が目印になっている。周辺には、チョコのいいにおいがほんのり漂っており、工場からできたてのB級品が直送されてくる。
店内に入ると、この日は数十個が袋詰めになった各種チロルチョコが1袋500円で売られていた。価格は、定価の半額から7~8割引の激安品まで幅広く、特別甘いものが好物ではない中年の記者でも、なんだかテンションが上がってしまう。
店内の様子
扱われているのは、「表面がはげている」「形が欠けている」「包装に不良がある」などの理由で流通されなかったB級品だが、もちろん、味にはまったく違いはない。
ただし、B級品はわざとつくられているわけではないため、その日に並ぶ商品の種類や数はまちまちだ。実際、記者が訪れた日は商品が少なめで「確かに、今日はいつもより少ないですね。この数だと20分で売り切れてしまうかも」(同店スタッフ)とのこと。
定番の「コーヒーヌガー」「ミルク」「ストロベリー」から、同商品が大ブレイクするきっかけとなった「きなこもち」や「抹茶もち」など、お目当てのフレーバーがあるかどうかは、行ってみてのお楽しみ。また、「たっぷりチアシード」「焼きりんごチョコ」「ウルトラレモン」など、今まで見たこともないレアな変わり種に出会える可能性もある。
週末には開店前に行列ができることも
評判はクチコミで徐々に広がっており、週末には開店前に行列ができるほどの人気となっている。取材日は平日かつ小雨模様ということもあって行列は見られなかったが、それでも駐車場に車を停め、雨宿りしながらオープンを待つ人の姿も見受けられた。
同店スタッフによれば、客層は老若男女さまざまで、午前中は比較的時間のある中高年層が列をつくり、午後から子供や若い人たちが増える傾向にあるという。アクセスのいい場所ではないにもかかわらず、県外からの来客も多いようだ。
時折、福岡のカフェやおみやげ店を回るスイーツ女子がバスツアーで訪れることもあるが、残念ながら閉店時間まで商品が残っていることはまずなく、早いときには14時頃に売り切れてしまうこともあるそうだ。商品がなくなり次第閉店してしまうため、ツアーバスが着いた頃には売り切れで肩透かし……という光景も同店の“あるある”らしい。
遠方に住むチロルマニアには残念な話だが、だからこそ“聖地”なのだろう。福岡県田川市といえば、その昔は炭鉱で栄えたことで知られるが、21世紀はまた違った“黒いダイヤ”で注目を集めているようだ。
(文=山崎正彦/ライター)