東京商工リサーチは、5月24日、『2016年決算「上場3,079社の平均年間給与」調査』【※1】を発表した。
それによると、16年の上場3079社の平均年間給与は前年から6万3000円(1.0%)増えて605万7000円だった。11年の調査開始以来、5年連続の増加で、600万円台に乗ったのは初めてだ。
平均年間給与が増加したのは1892社(構成比61.4%)で、前年から169社減少。逆に減少したのは1167社(同37.9%)で、前年から170社増加している。給与が増えた企業は全体の6割以上を占めるが、社数としては減っており、反対に給与が減った企業は増えていることになる。ちなみに、横ばいは20社(同0.6%)で前年から2社減少だ。
増加率1位はゼビオホールディングスで191.97%(496万9000円→1450万8000円)。減少率1位はフード・プラネットで▲86.48%(470万6000円→63万6000円)だった。
業種別では、唯一の700万円台である金融・保険業の702万9000円が最高だ。次いで、建設業(671万9000円)、不動産業(663万7000円)、電気・ガス業(658万6000円)が続く。小売業(500万円)は6年連続で最低となり、金融・保険業との差は1.4倍だ。
業種トップの三菱商事、朝日放送は1400万円台
国税庁が公表した「平成27年分民間給与実態統計調査結果」によると、15年の平均年間給与は420万4000円。上場企業の平均年間給与は605万7000円なので、1.4倍、金額にして185万3000円の“格差”がある。
これらの現状を、東京商工リサーチ情報本部は「政府や経団連は企業に賃金引き上げを要請し、上場企業の給与は着実に上昇している。だが、業種間で格差は拡大し、また中小企業との給与格差も縮まる兆しはみえない」と分析している。
個別の事例を見てみよう。トップはM&A助言会社のGCA(2139万6000円)で2年連続の首位かつ2000万円台だ。ちなみに、2000万円台は同社のみである。2位の日本商業開発(1741万円)と比べても、398万円の差がある。民間の平均年間給与に近い数字だ。
主な業種別では、銀行業のトップは三井住友フィナンシャルグループ(1272万6000円)、情報・通信業のトップは朝日放送(1498万円)、卸売業のトップは三菱商事(1445万9000円)、電気・ガス業のトップは中国電力(779万1000円)となっている。