ミスタードーナツの不振が鮮明になっている。運営するダスキンは、ミスドの2017年3月期の全国チェーン店売上高が前年同期比10.6%減の818億円だったと発表した。期末の国内稼働店舗数は、前年同期と比べ86店減り1160店となった。
直近の5年間では、売上高と店舗数は一貫して減少していている。13年3月期の売上高1112億円からは26.4%減少し、同期末店舗数1348店からは188店減っている。もはや、凋落が止まらない状態だ。
近年、セブン-イレブンなどのコンビニエンスストア各社がレジ横で本格的にドーナツを販売し始めたことが大きく影響した。「コンビニドーナツ」は売れていないとする向きもあるが、ミスドから顧客を奪っていることは間違いないだろう。
セブンがドーナツをレジ横で販売を開始したのは14年の秋で、本格的な全国展開は15年だった。一方、ミスドの売上高が急激に落ち込んだのは16年3月期(15年4月〜16年3月)だ。前年同期比で10.3%も減少し、1店舗あたりの年間売上高は500万円以上も減少している。このことから、コンビニドーナツの拡大とミスドの売上高の大幅減少はリンクしているといっていいだろう。
ミスドの店舗は全国に1000店以上あり、ドーナツ業界の王者だった。しかし、コンビニ大手3社の店舗数は5万店を超えており、店舗数ではミスドをはるかに上回っている。コンビニのドーナツ本格参入は想像以上に大きかったのではないか。
さらに、コンビニはイートイン併設店舗を急速に増やしていることも大きな脅威となっている。イートインを併設することで、店内で飲食できる環境を整え、いわばコンビニの“カフェ化”を推し進めている。ファミリーマートは、2階建てで40席以上もあるイートインを併設した店舗を展開するなど、特に力を入れている。
コンビニ各社は、「コンビニコーヒー」の販売も強化している。たとえば、セブンは全国約2万店のうち2800店(17年2月時点)に導入済みの、カフェラテも提供できるコーヒーマシンを来年2月までに全店に導入する方針だ。コンビニコーヒーが売れれば、“ついで買い”でドーナツも売れるとの目算が働いている。イートインが充実すれば、コーヒーとドーナツはさらに売れるだろう。そうなると、ミスドはより深刻なダメージを受けることになる。