ビジネスジャーナル > 企業ニュース > ミスド、店舗売上5百万減で危機  > 2ページ目
NEW

ミスド、店舗売上5百万減の危機的状況…パスタ+ドーナツセット販売も買う客おらず

文=佐藤昌司/店舗経営コンサルタント
【この記事のキーワード】, ,

経営理論無視の大迷走

 そうした状況のなか、ミスドは経営戦略の大きな転換を決断した。2月25日付日本経済新聞は「ダスキンは2020年度までに、『ミスタードーナツ』の約4割に相当する500店でドーナツの店内調理をやめる」と報じた。

 店内調理をやめて喫茶店形式への変更、持ち帰り専門店への切り替えを進める方針だという。店内で調理した“できたて”のドーナツが売りだったが、それを放棄して業態転換とコスト削減を優先するわけだ。

 ミスドはパスタや飲茶、ホットドッグなど、朝食・昼食を摂ることができる喫茶店形式の店舗を増やす計画で、ドーナツにこだわらない姿勢を鮮明にしている。もはや、ドーナツ主体では立ち行かなくなっていることの表れだろう。業態転換は避けて通れないのかもしれない。

 かつて「牛丼一筋80年」とテレビCMでうたい、牛丼に強いこだわりを見せていた吉野家も、今ではご当地鍋、豚丼、うな重といった“非牛丼”メニューを拡充させている。競合の松屋やすき家が、非牛丼メニューを充実させて一定の効果を上げている現状を無視できなくなったのだろう。

 回転寿司業界でも、“非寿司”メニューの充実化が進んでいる。はま寿司の「旨だし鶏塩ラーメン」や「コク旨煮干しラーメン」は、それぞれ約2カ月間で100万杯以上の販売を記録し、大ヒットした。また、くら寿司ではラーメンやうどん、カレー、うな丼、天丼などを販売しており、もはや寿司店とはいえない状態だ。

 このように、飲食店業界ではメニューの多様化が今の時代のトレンドになっている。ミスドもこうした時代の流れに抗えないだろう。パスタなどの食事メニューを充実させた喫茶店形式の業態へ転換していくのはやむを得ないといえる。

 ただ、ミスドはあくまでもドーナツが今まで消費者から支持を得てきたことを忘れてはならない。すなわち、「ドーナツもおいしく、ドーナツ以外のメニューもおいしい」といわれなければならない。「ドーナツが売れないから、ドーナツ以外のメニューに手を出したが、どちらも中途半端」と思われるようであれば見通しは暗い。

 そういう意味で、4割の店で店内調理をやめることは残念でならない。ドーナツの味は、以前と比べて劣ることになるだろう。それで客が離れてしまう可能性は否定できない。また、ドーナツを引き立たせるメニューが乏しいのも懸念材料だ。

ミスド、店舗売上5百万減の危機的状況…パスタ+ドーナツセット販売も買う客おらずのページです。ビジネスジャーナルは、企業、, , の最新ニュースをビジネスパーソン向けにいち早くお届けします。ビジネスの本音に迫るならビジネスジャーナルへ!