「リユース」と聞いて、どのようなイメージを抱くだろうか。
リユースとは、言わずもがな「再利用」という意味だ。一度使用された製品を再利用することで無駄な廃棄を減らし、循環型社会を形成するために、近年その重要性が高まっている。そういう意味でリユースが重要であることは間違いない。
企業でいえば、本を中古販売する「ブックオフ」やリサイクルショップを運営する「コメ兵」、フリマアプリのサービスを提供する「メルカリ」などがリユース業を行っている。もちろん、他人が一度使ったものでも使用したい人は一定数いるので、そういった人たちにリユース品を販売することで収益を上げることができる。
確かにリユース市場は有望だ。中古・リユースビジネスに関する総合ニュースサイト「リサイクル通信」によると、2015年のリユース市場の市場規模は前年比3.5%増の1兆6517億円で、調査対象とした09年以降、6年連続で拡大しているという。
リユースして製品を売ることは意義があることだ。そして、リユース市場が成長市場であることは疑いようもない。一方、“ブランドイメージ”という観点からリユースを見た場合はどうだろうか。
新品と比べ、リユース品は下に見られてしまうのではないだろうか。アンティークということで価値が高まる場合もあるが、一般的には価値は低く見られてしまうだろう。「他人が一度使っている」「古めかしい」といったマイナスのイメージがどうしても付きまとってしまう。少なくとも、「リユース」という言葉を掲げてハイブランドとしてイメージが高まることはないだろう。
大塚家具のリユース戦略
そういった認識を共有した上で、家具やインテリアを販売する大塚家具の経営を見てみたい。大塚家具はこのところ、リユース事業に力を入れている。15年7月に参入を表明。16年9月に本格始動し、同10月にはリユース品を販売する新たな大型拠点「IDC OTSUKAアウトレット&リユース大阪南港」をオープンした。その後、横浜や有明、新宿などにリユース品を扱う店舗を設け、事業を拡大している。
リユース事業を推し進めるために大々的に宣伝を行っている。参入表明後には、不要になった家具を最大10万円で下取りする「のりかえ特割」と称したキャンペーンを実施した。他社製品を含めて下取りすることで、買い替えで新たに家具を買ってもらうことと、リユース品の確保を目的としたキャンペーンだ。
最近では、8月27日まで下取りと買い取りを行うキャンペーンを実施した。買い替え需要を掘り起こすことに加え、下取りや買い取りした状態の良い家具をリユース品として販売する狙いがある。店頭ではもちろん、ホームページのトップで大々的にキャンペーンの宣伝を行っていた。「一律1万円で下取り」といった言葉がいたるところで踊っていた。