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コンビニのトイレ事情を店長に聞いたら壮絶だった…床一面に汚物、紙を盗み続ける中年女性

文=小川隆行/フリーライター
コンビニのトイレ事情を店長に聞いたら壮絶だった…床一面に汚物、紙を盗み続ける中年女性の画像1
「gettyimages」より

 昨年12月、兵庫県のコンビニエンスストアで男性客が器物破損容疑で逮捕される事件が起きた。報道によると、男はコンビニのトイレを無断使用して店員から注意されたことに腹を立て、レジに設置されていたアクリル板を壊したという。

 さまざまな客が訪れるコンビニには、マナーの悪い客も少なくないと言われる。そこで、東京都内でファミリーマートを経営する店長に「トイレ使用の実態」と「マナーの悪い客」について聞いてみた。

朝方に漂ってきた「ものすごい臭い」

 店長は、トイレ使用について次のように語ってくれた。

「うちは『ご自由にお使いください』としています。昨年、コロナの影響でトイレ使用を止めてくれ、と本部のSV(スーパーバイザー)から通達があり、しばらく使用を中止していましたが、トイレが感染源になる可能性は少ないことがわかってからは元通りにしています」

 私が「そもそも、コンビニが客にトイレを貸してくれる理由は?」と尋ねると、「私が見る限り、トイレを使ったお客さんの7割は買い物をしていってくれます。ただ、中にはマナーの悪い方がいるのも事実です。うちの店の周囲には居酒屋が多く、夜になるとトイレ内で寝てしまう方や吐いてしまう方もいます。そういう行為が日常茶飯事ならトイレの貸し出しも禁止しますが、さほどでもないので使用禁止にはしていません」と返ってきた。

 また、トイレ使用を禁止するか否かは「店側の判断に委ねられています。うちより駅に近い店は、貸していません。聞けば、週末になるたびに酔った若者が吐いていくため、掃除に手間がかかるのだとか」とのことだ。

 気になるのは「マナーの悪い客」だが、具体的にはどんなケースがあったのだろうか。

「ある日の朝方、トイレ掃除をしようとしたら、ものすごい臭いが漂ってきました。ドアを開けると、床一面が汚されており、壁に大便が塗りたくられていたのです。防犯カメラを見ると、酔った男性客が長時間トイレに入っていたことが確認できました。別の日には、便器の裏に店で売っている成人誌が置かれていたこともあります。よく見ると、袋とじが切られていました」

 また、「男女のトイレのどちらが汚くなるか」と質問すると、「間違いなく男子トイレです」という。

「女性の場合は、汚しても自分で拭いてくれます。おそらく次の客のことを考えてくれるのでしょうが、男性は立って(小便を)する方も少なくないので、便器の周辺や下側、あるいは壁に飛び跳ねます。おまけに手を洗わないため、トイレのドアノブも汚れます。まぁ、これぐらいは『仕方ない汚れ』と割り切っています。

 女性に多いのは、トイレットペーパーの万引きです。ある中年女性がトイレに入るたびにペーパーがなくなることがあり、その方がトイレから出てきた際に呼び止めると、手に持った袋の中に4つほど入っていました。カバンに商品を入れたままトイレに入った女子高生が出てきて、店を出た時点で声をかけると、舌打ちをしてカバンを放り出されたこともありましたね」

 こうした気苦労が絶えないのも、コンビニ経営の実態である。

 試しに、筆者が住む地域のコンビニを30軒ほど見て回ったところ、「トイレ使用の際は一声おかけください」などと記している店は12軒、トイレはあるが使用禁止は2軒、残り16軒は「ご自由にお使いください」と書かれていた。また、迷惑客が多いのか、駅前ロータリーにある店は2軒とも使用を禁じていた。

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身内による万引き被害も

 店側を困らせるのは、トイレ客だけではないようだ。

「女性店員がレジで売れ残った弁当をチェックしていたら、ホームレスとおぼしき方が『腹が減って仕方がない。(弁当を)くれないか』と言ってきたことがあります。かわいそうになったのか、その店員が恵んであげたら、毎日やってくるように。ある日、渋々断ったところ、何とコーヒー販売機の中にあるコーヒー豆を取り出してムシャムシャと食べ始めたんです。『おいしい?』って思わず聞いてしまいました(笑)。

 また、美人と評判の女子大生がレジにいた夏など、Tシャツの一部を切り取り、胸を露出して買い物をする男性客もいました。外を見ると仲間がいたようで、罰ゲームでもしていたのでしょうね。その女性店員が笑っていたので、事なきを得ましたが」

 また、前述のように、コンビニといえば万引き被害も広く知られるところだが、現状はどうなのだろうか。

「万引きは昔からありますが、防犯カメラの設置が周知された昨今は昔より少なくなった感じがします。ただ、何度か“身内”にやられたことがあります。たとえば、タバコや新聞、ビールなどを買った客が出した小銭を、店員がポケットに入れちゃうんです。

 レジのお金が増えると、強盗防止の観点から途中集金をするのですが、その際に万札を2枚ほど抜かれたこともあります。2日連続で2万円ほど足りなくなったときに、店の奥にあるモニターをチェックしたところ、外国人の店員が抜いていました。

 また、うちの店はロッカーにも防犯カメラを設置しているのですが、カメラが死角になるところで財布が盗まれたこともあります。そこで、カメラの角度を変えて、従来なら死角だった机が映るようにして財布を置いておくと、別の外国人店員が札を抜き取っていました」

 ただ、実際は「そういう外国人店員はほんのわずかで、多くは仕事熱心でやりやすい」という。

 最後に、コロナによる売り上げの変化を聞いてみた。

「コロナ前は1日80万円ぐらいの売り上げがありましたが、今は60万円ぐらいです。ステイホームで家飲みが増えたのでは? と聞かれますが、スーパーで買う人の方が多いです。ただ、日本全体が大不景気の中、うちは恵まれている方かもしれません」

「開いててよかった」と思ったことも多々あるコンビニだけに、気持ちよく買い物をしたいものだ。

(文=小川隆行/フリーライター)

小川隆行/フリーライター

小川隆行/フリーライター

ライター・編集者。1966年生まれ。中山競馬場の近くで生まれ育ち、競馬場から徒歩5分の高校時代に競馬に目覚めて馬券買いを始め、ダイナカールに恋をする。拓殖大学卒業後、競馬雑誌編集者になり数多くの調教師、騎手、厩舎関係者、競馬予想家に取材を重ねてきた。主な著書に『アイドルホース列伝 1970ー2021』(星海社)などがある。

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