駐車場大手のパーク24は英国の同業最大手のナショナル・カー・パーク(NCP)を日本政策投資銀行と共同で買収した。買収額は合計で3億1200万ポンド(約460億円)。
パーク24は、英国に設立した現地法人を通じ、8月3日付でNCPの株式の51%を1億5900万ポンド(約235億円)で取得して連結子会社に組み入れた。政投銀が残りの全株式を取得した。NCPは1931年に創業し、英国内に15万台を収容する駐車場を運営し、シェアは3割に上る。
パーク24は海外展開を加速している。今年1月6日、豪州、ニュージーランド、英国、シンガポール、マレーシアの5カ国で駐車場を運営するセキュア・パーキングのグループ会社を買収した。買収額は2億2780万豪ドル(約190億円)。それぞれの国に設立した現地法人経由で、各企業の発行済み株式の80%を取得し、連結子会社にした。パーク24にとって、これが初の海外でのM&A(合併・買収)だった。
2006年に韓国で、現地企業と合弁で24時間営業の無人駐車場の営業を始めたほか、同年に台湾にも進出している。一連のM&Aによってパーク24が展開する駐車場は、日本をはじめ8カ国・地域で120万台になった。
カーシェアリングで独り勝ち
パーク24は国内で駐車場やカーシェアリング、レンタカーサービスを手掛ける。なかでもカーシェアリング事業では独り勝ちを続けている。
カーシェアリングは、1台の自動車を複数の会員が共同で利用する新しい利用法。予約した時間に、会員カードをクルマにかざすとドアのロックが解除される。
公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団の調査によれば、2017年3月時点のカーシェアリングの車両ステーション数は1万2913カ所(前年比20%増)、車両台数は2万4458台(同24%増)、会員数108万5922万人(同28%増)と急拡大を続けている。
パーク24は、このうち会員数78万3282人で72%のシェアを押さえ、約30社のなかで独走している。
カーシェアリングは02年にオリックスグループ(オリックスカーシェア)が参入したのが始まりだ。パーク24は、09年に「タイムズカープラス」のサービス名で同市場へ参入した。カーシェアリングビジネスでは最後発だった。
カーシェアリング普及のポイントは、借りた場所と違う地点でクルマを返せるかとどうかにかかっている。多くのカーシェア業者はレンタカーの発想で全国展開していったが、クルマを返却するステーションがないという難問に直面した。タイムズカープラスは都心部の一定地域に集中して拠点をつくり、クルマの返却を容易にした。
パーク24は地主と契約して時間貸し駐車場「タイムズ」を展開してきた。24時間営業の無人駐車場、タイムズは全国に1万6642カ所(17年7月末時点)あり、その半分がカーシェアリングの拠点となっている。
個人が利用する場合、タイムズカープラスの初期費用は1550円。月額基本料金は1030円で、利用料金は15分あたり206円。ミニクーパーやアウディーに乗ると15分あたり412円。ガソリン代は利用料金に含まれるのでガソリンを満タンにして返却する必要はない。さらに、トヨタ自動車と連携した「タイムズカープラス×ハーモ」というサービスでは、ワンウェイ(乗り捨て)制度を取り入れており、借りた場所と違う地点でクルマを返せる。この時間貸し駐車場とカーシェアリングという“すき間”狙いが的中した。