コンビニエンスストア業界で新たな戦争が勃発した。「マイクロ・マーケット」をめぐる争いだ。コンビニ業界におけるマイクロ・マーケットとは、オフィスや学校など店舗を出店することが難しいものの、一定のニーズが見込める小さな市場のことだ。セブン-イレブンがその市場を狙い、戦いの号砲を鳴らした。
セブン-イレブン・ジャパンは9月19日、「セブン自販機」の設置を始めたと発表した。おにぎりやサンドイッチなどセブン店頭で取り扱っているオリジナル商品を中心に販売する食品自動販売機だ。取り扱う商品は最大75種類になるという。オフィスや工場、物流センター、学校などの従業員休憩室や待合室、食堂などでの設置を想定しているという。
セブンはセブン自販機を2018年2月末までに100台設置する方針を示している。近隣のセブン店舗が運営・管理を行い、店員が商品の補充や代金の回収を行う。販売期限が到来した商品は自動で販売中止する機能を持つ。売り上げはその店舗に計上する仕組みだ。
先行するファミマの「自販機コンビニ」
マイクロ・マーケットでは、ファミリーマートが先行している。食品自動販売機「自販機コンビニ」を05年より展開を開始している。ファミマ店舗で取り扱うおむすびやパン、サンドイッチ、弁当、菓子、ドリンクなどを、立地や客層に合わせて品揃えして販売している。オフィスや工場、物流センターなどで設置が進んでいる。
自販機コンビニは現在、1600カ所に約2100台が設置されているという。19年2月末までに3000台に拡大する計画だ。わずか1年数カ月で900台も設置することになるため、意気込みのほどが伝わってくる。12年前から展開していることもあり、ファミマにはノウハウが蓄積されているだろう。豊富なノウハウを生かし、セブンの追撃をかわして先行者利益を維持したいところだ。
ところで、自販機コンビニでは何が売れ筋なのだろうか。運営するユニー・ファミリーマートホールディングスの広報室に確認したところ、「ファミリーマートのおむすびやサンドイッチ・パンなど、ワンハンドで食べられる商品が特に人気」だという。手軽に食事を済ませたい人に人気があるといえそうだ。
ファミマは、店舗や自販機コンビニでは対応することが難しい場所でも無人販売ができる「オフィスファミマ」を13年から展開している。段ボール1個分ほどのスペース上に専用ケースを設置し、菓子やカップ麺など数十点を展開して販売する。貯金箱のような箱にお金を入れて商品を購入することができる。自販機コンビニのように、オフィスや工場などに設置している。
オフィスファミマでは、コーヒーの販売も開始している。「オフィス ファミマカフェ」として16年からサービスを開始した。小型のドリップマシンで淹れたてのコーヒーを提供する。オフィスファミマと隣接して展開することで、菓子やドーナツとの組み合わせで販売したい考えだ。
オフィスファミマは現在、首都圏の一部のみでの展開だが、今後は拡大していく方針だ。自販機コンビニと共にマイクロ・マーケットを開拓していくことになるだろう。