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世界的に金銭からビットコインへの置き換えが本格化…金銭や銀行の必要性低下

文=中西俊晶/A4studio
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 もちろん、アメリカなどでもビットコインに関する事件や犯罪はあります。ただ、アメリカは、シークレットサービスや国家安全庁といった機関で、ビットコインを追いかける技術者を大量に抱えているのです。しかし、日本にはそういったIT集団が存在せず、ビットコインに関する取締能力が極めて低いのが現状。こうした状況では、VALUのような投資目的でビットコインを買うのは非常に危険といえるでしょう」(同氏)

ビットコインは資産運用ではなく資産保全のために買うべき

 ビットコインにはさまざまなメリットがあることがわかった。だが、ビットコイン普及の土壌が不完全な日本においては、飲食店や各種料金支払いなどはもちろん、石角氏の言うように投資目的としても、ビットコインを買うべきではないのかもしれない。

 そうであれば、日本人はその恩恵を受けられないのだろうか。石角氏は、あくまで超長期的な資産保全のためにビットコインを買うべきだという。

「そもそも、現在我々が使っている通貨には、権力者が通貨の発行量を自由に左右することができるという非常に大きな欠点があります。経済学の原則でいうと、たくさんあるものは値段が安くなりますから、大量に発行された通貨は、どんどん価値が下がっていくことになります。こうしたもの(現在の通貨)に“自分の将来”を託しているということ自体、私は間違っていると思うのです」(同)

 通貨の価値が乱高下する恐れがあるというのは、過去の物価の変動を見れば明らかだ。また、日本円に限っていえば、通貨価値の下落にとどまらず、それ自体が崩壊する恐れもあるという。

「米ドルもそうですが、本来、日本円というのは金との“兌換通貨”です。すなわち、円の価値というのは金によって裏打ちされていたわけです。しかし、円が金との兌換通貨でなくなった今、円の価値を裏打ちするのは国力、すなわち税収能力ということになります。そうすると、日本は世界でも類を見ない少子高齢社会ですから、税を納める人口が少なくなり、円の価値が下がっていくのは目に見えています。

 また、日本は今、北朝鮮という極めて危険な国家に狙われているという状況で、国が抱えるリスクが大きいため、日本円の価値もリスクに晒されているといえます」(同)

 多くの要因が絡み合い、今、日本円は非常に危険な状態にある。そして、円崩壊のリスクがある今こそ、ビットコインに目を向けるべきだと石角氏は続ける。 

「もともと日本円が金に裏打ちされた通貨というのは先ほど述べたとおりです。それでは、なぜ金が価値の裏付けになるかというと、たくさんあるものは価値が下がるということの逆、つまり金の生産量は限られており、希少性があるからです。そして、実は、ビットコインを産み出すことの困難さは金と非常に似ているのです。

 ビットコインを生み出すことをビットマイニングといいますが、その作業はまさに金脈を採掘するかのようなものです。ビットコインが今ほど注目されていなかった時代と比べ、今は金脈が減ってきており、まさに毎年掘るのが難しくなる金と同じです。たとえば、ビットマイニングを個人で行おうとすると、かなり大きなサーバーとパソコンを20台くらい買ってきて、3カ月から4カ月運転し続けて、やっと1ビットコインを掘り出せるかどうかというレベルですから、その難しさがわかると思います。

 このようにビットコインは生産量が限られているため、不変の価値を持っているというわけです。日々、ビットコインの価格は変動していますが、それはあくまで円やドルと比較した価値です。したがって、ビットコインを持つことは、自分の資産を守ることでもあるのです。

 また、資産を増やしたい場合でも、5年前にビットコインを買った人は、今はその資産は何百倍にもなっているわけですから、決して1日単位で儲けようとせず、少なくとも5年はしっかり持っておくといった意識が大切です」(同)

 石角氏は「日本人は物事を短期的に考える傾向がある」とも語る。そういった考え方ゆえに、日本ではビットコインに関する正しい知識が広まらず、間違った運用の仕方で損をする人が出てきてしまうのかもしれない。

 ビットコイン普及が遅れている日本では、それがいかなるものなのか正しく知らなければ、思わぬ危機に瀕したり、大きなチャンスを見逃すことになってしまう恐れがある。
(文=中西俊晶/A4studio)

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