2019年6月に起こった“闇営業騒動”以降、堰を切ったように始まった、人気芸人らの吉本興業退所続出問題。闇営業に直接関与した者のひとりであるロンドンブーツ1号2号の田村亮は吉本興業を退社。相方の田村淳が個人事務所を設立し、そこに所属することで吉本と手打ちし、今や地上波のレギュラー番組にまで返り咲くことができた。
その間にも、加藤浩次、たむらけんじ、ハリセンボン近藤春菜、友近ら人気芸人たちが吉本とのエージェント契約を発表。またその流れを汲んでか、オリエンタルラジオの2人やキングコング西野亮廣は、吉本興業退社の道を選んだ。
この1年9カ月でお笑い帝国・吉本興業が擁する人材の顔ぶれは随分変わったように思えるが、いまだくすぶっているのが、雨上がり決死隊・宮迫博之の問題である。YouTuberとしては、自身のチャンネル「宮迫ですッ!【宮迫博之】」の登録者数135万人を突破し、大成功。生活には困ってないものの、自身は「テレビの世界に戻りたい」「待ってくれている相方の横に戻りたい」と芸人時代への未練を捨てきれず、2月10日には同チャンネルに島田紳助を電話出演させてまで、古巣への未練を語りに語った。
島田紳助・電話出演の件を松本人志が『ワイドナショー』でノータッチだったことの“深い意味”
これを受けてか、12日に発売された「FRIDAY」(講談社)では、吉本興業・大崎会長への直撃インタビューを掲載。大崎会長は宮迫に対し「もう戻らんでええ」などと語ったといい、怒り心頭のようだが……。吉本興業に近いある映像ディレクターはこう明かす。
「『FRIDAY』の大崎会長のインタビューを読む限り、あれは100%怒ってますね。どうやら紳助さんを担ぎ出し、YouTubeに出演させたことに相当おかんむりのようです。というのも、紳助さんにすがっても、宮迫さんの復帰につながるわけがない。紳助さんは反社(反社会的勢力)との“黒い交際”で吉本を辞めたわけで、吉本からすれば、同じく反社への闇営業問題でクビになった宮迫さんがもっともすがってはいけない相手。宮迫さんだってそれはわかってるはずなのに、YouTubeの再生数欲しさに紳助さんを口説いた。大崎会長はいまだに紳助さんとはプライベートでつながりがあり、盟友という関係は変わってませんから、そりゃあ腹も立つでしょうね。
大崎会長の記事を読んでか、今田耕司さんや月亭方正さんが関西ローカルの番組『特盛!よしもと 今田・八光のおしゃべりジャングル』(読売テレビ)内で戸惑いを見せてましたが、実際、宮迫さんに対する大崎会長の怒りが初めて活字となって世に出たので、吉本内にも戦慄が走ったのは事実。一方、ご意見番である松本人志さんが『ワイドナショー』(フジテレビ系)ではこの件についてはまったく触れなかったことのほうが、より根深い“何か”を感じずにはいられませんでした」
『行列のできる法律相談所』での復帰プランもあったが、「島田紳助・電話出演」で潰えた
大崎会長の逆鱗に触れ、いよいよ吉本復帰への芽はついえたかのようにも見える今回の一件。しかし宮迫自身は、2月初旬に自身のYouTube内で「今後は『アメトーーク!』(テレビ朝日系)以外のオファーも引き受ける」と熱い意気込みを見せたばかりだ。
「これまでは『アメトーーク!』でのテレビ復帰を切望していた宮迫さんでしたが、『アメトーーク!』は、宮迫さん不在でもサブMC枠の芸人を入れることで今やしっかりと成立していますし、蛍原(徹)さんもコンビ時代よりも面白度が上がっているように感じられる。つまり、番組的には無理して宮迫さんを復帰させる意思はないし、吉本とも揉めたくないので、火中の栗など拾いたくないということ。なので、宮迫さんは『アメトーーク!』への一応の仁義は切りつつ、オファーの窓口を広くすることで復帰の道を探ろうとしているのでは。
一説には、宮迫さんがレギュラー出演していた『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)での復帰プランもあったそうですが、アンジャッシュの渡部(建)さんを年末の『笑ってはいけない〜』(日本テレビ系)の“隠しゲスト”として仕込んでいたところ、この情報が漏れて報じられてしまい、松本(人志)さんがブチギレる……という一件がいまだに尾を引いており、宮迫さんの復帰プランなどはまったく動かせずにいるようです。ただ、『行列~』の初代MCである紳助さんとYouTubeでコラボしてしまったことで、大崎さんの怒りが頂点に達しているので、もはやこのプランは完全に消滅したといっていいと思いますよ」(前出・映像ディレクター)
吉本芸人の宮迫チャンネルへの度重なる出演は、「宮迫が許された」ことを意味していない
こうなってくると、もはや不可能とさえ思われてくる宮迫の復帰問題。では、はたして現時点での復帰の可能性はいかほどなのか。吉本興業に近いある放送作家はこう明かす。
「復帰の可能性は、現時点では限りなくゼロに近い。というのも、やはり宮迫さんはプライドが高すぎる。闇営業問題にかかわった芸人は、首謀者としてクビを斬られたカラテカの入江(慎也)さん以外は全員復帰しています。闇営業で一番大金をもらったのに『カネはもらってない』と噓をつき、にもかかわらずYouTubeで発信を続ける宮迫さんだけが、いまだに復帰できていないわけです。もし宮迫さんがあのあとおとなしく謹慎を続け、それこそ渡部さんのように豊洲市場で深夜バイトでもしていたら、きっと『アメトーーク!』にも『行列~』にも、すでに復帰できていると思いますよ。
しかし宮迫さんは芸人としてのプライドが高すぎて、どうしてもじっとしていられない。『自分はすごい』と誇示したい。だから、こじれるんです。YouTuberとして頑張れば頑張るほど、吉本との距離は離れていく。チャンネル登録者数が135万人って確かにすごいのですが、実際のその視聴人数をテレビの視聴率に換算すれば、たった1%ですからね。吉本サイドは一切評価していませんよ。
自身のYouTubeチャンネル「宮迫ですッ!【宮迫博之】」では、加藤浩次さんやぐっさん(山口智充)とコラボし、今後もインパルスの堤下(敦)さんや千原ジュニアさんとのコラボが決定したことを報告するなど、吉本勢との共演が増えているのは事実。これらを吉本興業側が許すということは、吉本の“対宮迫対応”はかなり軟化していると思ってたのですが……。今回の大崎会長の一件で、少なくとも現時点では復帰の可能性などあり得ない、と断言していいと思います」
YouTubeを頑張れば頑張るほど裏目に出てしまうという、悲しい現実を前にしている宮迫博之。彼がYouTubeチャンネルを閉じたときこそ、吉本復帰への“本当のサイン”なのかもしれない。