大手飲料メーカー、サントリー食品インターナショナルが9月に発売した “透明なミルクティー”こと「サントリー天然水 PREMIUM MORNING TEA ミルク」。 “透明なレモンティー”「PREMIUM MORNING TEA レモン」に次ぐ第二の矢として、発売当初は多くのメディアでも取り上げられ、大きな反響を呼んだ。
これまでサントリーは、ミネラルウォーターの「サントリー天然水」に味を付け、フレーバーウォーターとしてシリーズ展開をしてきたが、なかでも2015年に発売された「ヨーグリーナ&サントリー天然水」は、発売1年未満で累計販売数1000万ケースを突破する大ヒット商品となっている。
そんな好況を受けて発売された「PREMIUM MORNING TEA ミルク」。無色透明なのにしっかりとミルクティーの味がするという不思議さに惹かれ、試しに購入してみたという人も多いのではないだろうか。
しかし、話題性の陰で、消費者からは「一度飲んだら十分」「まずくはないが、また飲みたいとは思わない」「味はミルクティーだけど舌ざわりに濃厚さがない」といった不評の声が相次いでいるという。小売店では、ヒットを見越して多く仕入れたものの、大量に売れ残っているとの情報も飛び交っている。
では、実際のところ「PREMIUM MORNING TEA ミルク」の売れ行きはどうなのだろうか。
大量の売れ残りに辟易する小売店
販売状況を調査するため、まず訪れたのは東京都内のコンビニエンスストア。飲料品コーナーでは「PREMIUM MORNING TEA レモン」と並んで陳列されている。「PREMIUM MORNING TEA ミルク」について、店員に話を聞いた。
「発売当初は売れたものの、ここ1週間の売上はゼロ。もちろん今は仕入れもしていません。寒くなってきていてコールドドリンク全体の売れ行きも落ちているので、これからの売上はますます見込めませんね」(20代男性・コンビニ店員)
発売からおよそ2カ月たったとはいえ、1週間で1本も売れないというのは、なかなか厄介だ。店員も困惑した様子だった。
次に足を運んだのは、同じく都内にあるスーパーマーケット。たくさんの種類の飲料が並ぶ一角に、値引きの札が付けられた「PREMIUM MORNING TEA ミルク」が隙間なく並べられていた。店長は次のように話す。
「話題になった割には全然売れていない印象ですね。ここ1週間では6本だけ。飲料品で週に6本しか売れないなんて、本来であればカット対象。我々(スーパー)からすると、邪魔でしかないですよ」(40代男性・スーパー店長)
なかなかに辛辣な意見だが、経営の責任を負わねばならない立場からすると、店長の発言はもっともだ。あまりにも低すぎる売り上げから、小売店のお荷物になっているといわざるを得ないだろう。
透明なミルクティーは先行き不透明?
このような実態を受け、サントリーに渦中の「PREMIUM MORNING TEA ミルク」について問い合わせたところ、次のような回答を得た。
「4月に発売した『サントリー天然水PREMIUM MORNING TEA レモン』が好調に伸びているということで、続く『透明な紅茶』シリーズとして、ミルクと茶葉の両方をこだわり抜いて製品化したのが『PREMIUM MORNING TEA ミルク』です。発売直後の水準とまではいきませんが、現状まずまずの売れ行きで推移していると認識しています。消費者の方からも『見た目は透明なのにちゃんとミルクティーの味がする』『開けたときの香りがよく、甘すぎずさっぱりしている』など、ご好評の声をいただいています」(サントリー担当者)
サントリーは「好評」と話すが、先の小売店調査の結果からわかるように、消費者の興味が離れてしまっている感は否めない。これからの季節、飲料水の売上は減少傾向に陥る。そんな状況のなか、果たして「ヨーグリーナ&サントリー天然水」に続く大ヒット商品へと上り詰めることはできるのだろうか。
(文=A4studio)