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何のために発行された? 66年誌の謎

信金国内2位の城南信金、前々理事長の悪事暴露溢れる創立66周年記念誌が業界で話題に

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城南信金本店
(撮影:Wakkubox「Wikipedia」より)
 果たして、“批判”なのか、“自己弁護”か、はたまた“改革の成果の自慢”なのかーー?

 国内信用金庫としては第2位の預金量を誇り、“信用金庫業界の雄”と呼ばれる城南信用金庫の創立66周年記念誌が、話題を呼んでいる。

 奇異に感じるのは、周年記念誌と言えば通常は、10年区切りなど区切りのよい年に発行されるものだが、何故かこの周年記念誌は66年誌。そして、その内容は誠に周年記念誌らしからぬ内容なのだ。

 冒頭の「発刊にあたって」で吉原毅理事長は、66周年という中途半端な時期に周年記念誌を作った理由について、「これまで創立10周年から50周年まで、10年毎に周年記念誌を作成してきたが、その多くがトップ対談や写真で構成されており、残念ながら金庫の歴史が詳細に記述されているものは、創立10周年記念誌だけ」とし、「金庫創立からの歴史と変遷を整理するため編纂した」と述べている。

 しかし、その内容は、“歴史と変遷”からはかけ離れたものとなっている。

「昭和63年12月に体調を崩して入院していた小原会長(編集部注:同信金の中興の祖と言われ、長年、全国信用金庫協会会長も務めた小原鐡五郎氏)は、平成元年1月27日に肺がんのため帰らぬ人となりました。同年2月の理事会で、真壁實氏が6代目理事長に就任しました。小原会長の入院中は、当時の側近であった真壁専務理事が取次を行い、他の役員には病院での面会を一切させませんでした。そのうえで真壁氏は、自己を理事長就任を決定する会合において、『小原会長は前々から自分を後継者として指名していた。それに自分以外に理事長職をできる者はいない』と大声で言い、それに異論をはさむ者はいませんでした」と吉原現理事長の元上司であり、前々理事長の真壁氏の理事長就任の過程を暴露している。

 さらに、「華々しい実績の陰で、月刊誌『テーミス』(テーミス社)との抗争事件が起こりました。テーミス社は、金庫の役職員が賞与支給時や昇格時に真壁氏に多額の商品券や現金などの付け届けをする風習を知り、これを『上納金制度』と呼んで報道しました。真壁氏は『トップ個人への糾弾は、トップへの攻撃ではなく、信用金庫全体への攻撃である』と論議をすりかえて、名誉棄損で告訴しました」と組織の過去の悪しき習慣を明るみにさらす。

 その上で、「平成8年2月に理事長を7年間務めた真壁氏は会長職に就任しましたが、経営権を引き続き保持し、その後も実質的に城南信用金庫の実権を握り続けることになりました」と続く。

 真壁氏批判はその後もとどまることなく続く。「平成14年6月に真壁氏は理事を退任しましたが、その後も常任相談役・名誉会長という地位について、ワンマン経営を続けました」「平成18年6月に真壁氏の娘婿である深澤浩二氏が9代目理事長に就任しました。ただし、真壁氏は引き続き、経営のすべてに口をはさみ、実質的には経営権を譲りませんでした。その前後に、真壁氏の孫が入職すると、私物化、公私混同の行為が目に余るようになり、平成22年11月10日の理事会において、真壁名誉会長と深澤理事長の責任を問う形で解任決議が行われ、経営の正常化が行われました」となる。

 その後は、現在の吉原理事長が打ち出した施策の数々を挙げ、経営の健全化が図られてきたことが延々と述べられ、「地域貢献・社会貢献のための活動を積極的に実施し、地域の方々からの共感と信頼を高めています」と結ばれている。

 いったい、この周年記念誌は何を目的に作られたものなのだろうか?
(文=村山敦)

BusinessJournal編集部

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